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戦国小町苦労譚

千五百七十三年 八月中旬

八月十一日。受到秀吉調略而守護焼尾砦的淺見對馬守倒戈,投向織田一方。

八月十一日。秀吉から調略を受けていた焼尾砦を守る浅見対馬守が折れ、織田側へと寝返った。

此一消息立即傳至信長,繼山本山城之後又一調略成功,使織田家中除靜子外的主要家臣間廣泛動搖。

その一報は即座に信長へと届けられ、山本山城に続く調略の成功に、静子を除いた織田家の主だった家臣間に動揺が広がった。

既然焼尾砦已失守,剩下的只有大嶽城了。若連大嶽城也被秀吉攻下,這次討伐淺井・朝倉的第一功便歸秀吉所有。

焼尾砦が落ちた以上、残すは大嶽城のみとなった。大嶽城すらも秀吉が落とした場合、今回の浅井・朝倉討伐における第一功は秀吉のものとなる。

那麼秀吉在織田家內的發言權將更為強大,這點令許多人不以為然。

そうなれば織田家内での秀吉の発言力は更に強くなり、それを面白く思わない人間は多かった。

另一方面,不關心權力爭奪的靜子毫無動搖,平淡地完成對柴田勝家與前田利家陣地的物資搬運及火槍隊部署。

一方、権力争いに興味がない静子には動揺もなく、淡々と柴田勝家や前田利家の陣へと物資搬入及び鉄砲衆の配置をこなしていた。

雖被接收到焼尾砦消息的柴田勝家與前田利家叨擾詢問,因而被耽擱超出必要時間,但大致上仍如期完成工作。

焼尾砦の報を受けた柴田勝家や前田利家にあれこれと話をきかされ、必要以上に足止めを食ったが概ね予定通りに仕事を終えていた。

翌日十二日,史實上記載夜間有雷雨,但靜子從白天雲的變化判斷,天氣惡化會延至隔日。

翌十二日、史実では夜間に雷雨を伴う大雨が降ったとされるが、静子は昼間の雲の動きなどから、天気が崩れるのは翌日にずれ込むと予想した。

果如靜子的判斷,十二日夜雖然風大,卻連小雨也未降就過去。

そして静子の読み通り、十二日の夜は風こそ強いものの、小雨すら降らずに過ぎていった。

「光是單純等天氣轉壞,也頗感閒散。」

「天気が崩れるのをただ待つ、ってのも割と暇を持て余すな」

慶次一邊仰望夜空一邊低聲嘀咕。

慶次が夜空を見上げつつ呟く。

「抱歉,讓你們執行這種全靠天候的作戰。」

「ごめんね、こんな天気任せの作戦で」

「沒關係。要緊的是天是否站在我們這邊,或倒向敵方,問問天命也別有一番趣味。不過,真的要做嗎?我倒是完全不介意,但要是失敗了,就算是靜っち也不會只輕罵一頓的喔?」

「構わないさ。ようは天が俺たちに味方するか、それとも敵側につくか、そういう天命を占うのも乙なものさ。しかし、本当にやるのかい? 俺は一向に構わないが、失敗すれば如何に静っちと言えども大目玉じゃ済まないぜ?」

「正因如此才有趣,不覺得嗎?」

「だからこそ面白い、と思わない?」

被靜子的回應打了個措手不及,慶次愣了一瞬,但隨即展顏大笑,捧腹不止。那是毫無深意、單純覺得快樂無比的笑聲。

静子の返しに意表を突かれ一瞬呆けた慶次だが、破顔すると腹を抱えて笑い出した。含むところの一切ない、愉快でたまらないと言う笑いだった。

「靜っち也真是個傾奇者。確實一般人不會做的。也正因如此才有意思。我的兵都興致勃勃,這麼好玩的事,沒人會不上場的。」

「静っちもなかなかどうして傾奇者だな。確かに普通はやらないだろう。だからこそ面白い。俺の兵たちはやる気だぜ。こんな面白い話、乗らない手はないってな」

「說不定會冷死人的,竟然還能說出那麼熱衷的話,真令人驚訝呢。」

「下手をすれば寒さで死ぬかも知れないのに、そんなに乗り気な言葉が出るのは驚きだね」

「也許吧。但計策恰好奏效時,那群人的表情,肯定看頭十足。」

「そうかもな。だが、策がぴったりと嵌った時の連中の顔は、さぞかし見ものだろうな」

正談笑間,慶次隊中被稱為猛者的那些人走了過來。

そんな話をしていると、慶次隊の中でも猛者と呼ばれる連中がやってくる。

或許是效法隊長慶次,人人皆各自傾奇。有些人甚至敢於攜帶那種非得立下顯赫武功才能配得上的朱槍。

隊長の慶次に倣ってか、みなそれぞれに傾(かぶ)いていた。中には余程の武功を立てなければ持てない朱槍をあえて携えている者すら居た。

「剛才已向慶次說過,這次的計策已獲批准。計策內容與先前所傳無異。這是關鍵的傾奇之機,將你們的生存之道示於敵前吧。」

「さて、先に慶次さんへ話をしていたけれど、今回の策が承認されました。策の中身については、以前伝えた内容から変更はありません。ここ一番の傾きどころです、己の生き様を敵に見せつけてやりなさい」

聽了靜子的話,聚集的傾奇者們都露出粗獷的笑容。靜子覺得士氣已足,剩下的只等時機到來。

静子の言葉に集まった傾奇者たちは太い笑みを浮かべた。意気込みは十分、後は時が来るのを待つだけだと静子は思った。

至於來臨的十三日,從晨間起天色陰沉,雨意濃厚。清晨,靜子在本陣翻看所雇中間的名冊。

来たる十三日。朝から天は曇り、雨の気配が濃厚に漂っていた。早朝、静子は自陣にて雇い入れた中間(ちゅうげん)たちの名簿を眺めていた。

「這一隊……還有這一隊,我想已經雇了相當長一段時間。因為可能因為習慣而鬆懈,若工作表現良好,就在報酬上多給些獎勵。熟練者多給些報酬也沒問題吧。」

「ここと……ここの集団、結構長い期間雇っていると思うの。そろそろ慣れから意識が緩みそうだから、仕事ぶりが良ければ報酬に色を付けてあげなさい。熟練者なら、報酬が多くても問題ないでしょう」

「那樣不就會跟其他人拉開差距了……」

「それでは、他の者と差がついてしまいますが……」

「對於將性命置於賭盤上的人,精神論或根性論是無用的。對其給予與工作相稱的評價與報酬,才能使他們發揮全部力量。在我軍連番激戰且屢次僱用者,應當視為歷戰之兵。藉由按勞取酬,其他人也會被激勵而奮起。那些悶悶不樂不肯工作的傢伙,只會找各種藉口不做事,這類人下次就不必再雇了。」

「己の命を賭け皿に載せている彼らに精神論や根性論は響きません。働きに応じた適切な評価と報酬を与えることで、彼らは十全に力を発揮します。激戦続きの我が軍で繰り返し雇っているのなら、歴戦の兵として扱うべきです。働きに応じた報酬を与えることで、他の者も触発されて奮起します。それに不貞腐れて働かないような輩は、何かにつけ理由を付けて働かなくなります。そういう者達は次回から雇わなくて結構です」

靜子說到,若一直僱用中間,就會出現總是同一批人來報到的情形。不應把中間一概而論,應依工作表現給予差別待遇。

中間を雇っていれば、いつも同じ面子で参じる人間が出てくる。中間として十把一絡げに扱うのではなく、働きに応じて差を付けるべきだと静子は語った。

「是!遵命。」

「はっ! 承知いたしました」

「器具的整備都妥當了吧?器具的好壞會影響效率。」

「道具類の整備は万全かな? 道具の良し悪しで効率が変わるからね」

「是,沒問題。匠人們已做完全數檢查,保證萬無一失。」

「はい、問題ありません。職人たちが全量検査をして万全だと太鼓判を押しております」

「很好。有在讓他們於勞動間隙休息吧?任何人長時間工作都會累積疲勞,疲勞一旦累積就會誤判或發生意外失誤。」

「宜しい。労働の合間には休息を取らせているね? どんな人間でも、長時間働けば疲労がたまる。疲労が溜まれば判断を誤ったり、思わぬ失態を演じたりするからね」

「我們已制定充足的休息時間,幸好中間們狀態都非常好。」

「過不足なく休憩時間を設けております。お陰ですこぶる元気な中間が揃っております」

「那就好。你們也要適時休息。工作會讓人疲憊,無論體力或腦力皆然。若有人責難,告訴我。我有責任保障臣下(……)」

「ならば良し。君たちも適宜休憩を取るように。働けば疲れる。それは肉体労働だろうと頭脳労働だろうと変わらない。誰かが咎めるようなら私に報せなさい。臣下の保障をする(・・・・・・・・)のは私の役目ですから」

「是!靜子大人的關懷,令人感佩。」

「はっ! 静子様のお心遣い、痛み入ります」

聽了部下的話,靜子滿意點頭,放下文件站起身來。

配下の言葉に静子は満足げに頷くと、書類を置いて立ち上がる。

「我常說,我等是織田軍幕後的支柱。絕非華麗出風頭之輩。然而織田軍能持續順利進軍,正是因為我們在背後的運作。以此為榮,用鐵一般的團結堆砌不動搖的戰功,今後也將繼續擔負織田軍的後勤。」

「常々言っていることですが、我々は織田軍における縁の下の力持ちです。決して華々しい活躍をすることはありません。しかし、織田軍が快進撃を続けていられるのは、我らの影働きがあってこそ。これを誇りとし、鉄の結束を以て揺るがぬ実績を積み上げ、これからも織田軍の兵站を担い続けていきます」

「哈哈!!」

「ははっ!!」

後方支援部隊的隊長們向靜子深深一鞠躬後離去,接著慶次與才蔵等人輪替回到靜子所在的本陣。

後方支援部隊の隊長たちは静子に深々と頭を下げたあと本陣を去り、入れ替わるように慶次や才蔵達が静子の居る本陣へと戻ってきた。

「這天空的樣子和雨的氣息……天色快要壞了吧。那就是開始的信號……慶次先生與勝蔵君,拜託你們了。」

「この空模様と雨の匂い……もう間もなく天気が崩れるでしょう。それが開始の合図……慶次さんと勝蔵君、よろしくお願いします」

「交給我,定會帶回有趣的成果。」

「任せておけ、おもしろい結果を持って帰ってきてやる」

長可握拳作勢想鼓舞士氣,慶次卻露出無奈的表情。即便長可失控,靜子認為只要有慶次同在應該也能想辦法。

長可が力拳を作って気合をアピールするも、慶次は呆れ顔になっていた。仮に長可が暴走しても、慶次が一緒なら何とかしてくれるかな、と静子は考える。

靜子對這次作戰有一點擔憂,那就是長可可能會失控暴走。

静子は今回の作戦に一つ懸念を抱いていた。それは長可が暴走してしまうという可能性。

近來長可奉信長之命,負責畿內各地的騷動鎮壓;然而長可一到任,騷動便完全止息。

近頃、長可は信長の命令を受け、畿内各地の騒動鎮圧の任に就いた。しかし長可が着任すると同時に、ピタリと騒動が発生しなくなった。

長可的惡名傳到畿內,甚至被認為是連武田的赤備也能擊敗的惡行無道的無賴漢。

長可の悪名は畿内にも届いており、武田の赤備えすら倒す悪逆非道の無頼漢だと思われていた。

因此即便有小規模騷動發生,等長可趕到時也已解決,他因為得不到盡情戰鬥的不滿只會越積越多。

それゆえ小さな騒動が発生しても、長可が駆けつける頃には解決しており、彼の不完全燃焼による欲求不満は溜まる一方であった。

現在終於遇到足以大展身手的機會,靜子擔心血氣方剛的長可會因急切而失控。

ここに来て存分に敵と戦える機会に巡り合い、血気に逸(はや)る長可が暴走するのではと危惧していた。

「請才藏先生與與吉(高虎)君守護本陣。鐵砲衆的大半已被派往各地,本陣只剩下少數鐵砲衆與龍騎兵,務必不要鬆懈。」

「才蔵さんと与吉(高虎)君には本陣の守りをお願いします。鉄砲衆の大半を各地に派遣したから、本陣には僅かな鉄砲衆と竜騎兵しか残っていません。油断しないよう頼みます」

「哈哈!」

「ははっ!」

鐵砲衆由玄朗擔任大隊長,麾下有數名率領約二百人為一隊的隊長,其中一人便是淺井長政。

鉄砲衆は玄朗が大隊長を務め、その下に200名ほどを一部隊として率いる隊長が数名存在する。その隊長の中の一人が、浅井長政であった。

以他的出身本不該甘於此位,但他重新以一名普通士卒出發,很快就升了上來。

彼の出自から言えば、そのような地位に甘んじるものではないが、彼はただの一兵卒として再出発し、早くものし上がってきていた。

遠藤與三田村如今也已成為相當熟練的鐵砲衆。

遠藤や三田村も今ではすっかり熟練の鉄砲衆になっていた。

那支由長政率領的隊伍,不知不覺被靜子安排到秀吉麾下,或許是歷史的一大諷刺。

その長政が率いる隊を、静子は知らずの内に秀吉のところへと配置したのは歴史の皮肉だったのかも知れない。

「說起來,明智殿用五十名龍騎兵去撼動朝倉的陣地,那是上様下令去挑釁的嗎?」

「そういえば、明智殿が竜騎兵50を使って朝倉の陣を揺さぶっていたな。あれは上様が挑発しろって命じたのかな?」

「大概是吧。目的是消耗敵軍,龍騎兵以機動力打一擊即撤的打擊離脫戰術最適合這種目的。」

「多分そうでしょう。敵の消耗を狙っておられるからね。竜騎兵の機動力なら一当てして、即座に撤収する一撃離脱戦法が使えるから、うってつけなんでしょう」

龍騎兵是配備新式銃的騎兵部隊,能在騎乘狀態下進行長距離狙擊的兵種。

竜騎兵は新式銃を装備した騎兵隊であり、騎乗したままの長距離狙撃を可能とする兵種だ。

需要精準射擊時會下馬,但在其他情況下可發揮機動力接近敵方,從敵射程外反覆單方面射擊,或邊引敵邊持續射擊,這是以往所沒有的攻擊方式。

精密射撃が求められる場合は下馬するが、それ以外では機動力を生かして接敵し、敵の射程外から一方的に射撃を繰り返したり、敵を引き込みつつ射撃を続けたりという従来には無かった攻撃が可能となる。

借由馬的機動性與新式銃的壓倒性性能,僅約五十名龍騎兵就能擾亂十倍的敵軍。

馬による機動力と新式銃の圧倒的性能によって、僅か50ばかりの竜騎兵でも10倍の敵を攪乱することが可能となる。

不過作為騎兵,免不了有視野良好且地面穩固等限制。

ただし騎兵である以上、視界が良好かつ足元が確かであるという制限は免れ得ない。

「我們從遠處看著,對朝倉軍而言一定煩得要死。被那樣單方面打擊還不見義景作為也成問題,今朝倉的家臣們恐怕正往義景那裡逼問。這次只有義景的想法是對的啊。」

「遠巻きに眺めていたが、朝倉軍からすれば鬱陶しくて堪らんだろう。あれだけ一方的にやられても、義景が動こうとしないのも問題だ。今頃朝倉の家臣たちは義景に詰め寄っているだろう。今回ばかりは義景の考えが正しいのだがな」

足滿笑著補充了靜子的話。

足満が笑いながら静子の言葉を補足する。

目前無論攻向哪一處陣地,都有超過一百名配備新式銃的鐵砲衆;在接近到白兵戰距離時,許多將兵喪命是顯而易見的。

現時点ではどこの陣へと攻撃しても、新式銃で武装した鉄砲衆が100名以上いる。白兵戦の距離まで近寄る頃には多くの将兵が命を落とすのは目に見えていた。

這樣一來不被挑釁而堅守的義景戰法就合乎道理,但被奇襲並暴露在槍火下的那方,無法長期忍受。

それを考えれば挑発に応じず守勢を貫く義景の戦法が理にかなっている。ただし、奇襲を受けて銃弾に晒されている側からすれば、長くは耐えられない。

「沒辦法啊。就算被告知要繼續忍受槍擊,但若看不到情勢好轉的跡象是很難忍耐。不過那折磨應該快結束了,聽說那位(……)與羽柴大人有了接觸……應該在幾日內就會有結果吧。」

「仕方ないよ。銃撃されても耐え続けろ、と言われても状況が好転する兆しがないんじゃ耐えられない。とはいえ、そろそろその苦行も終わるだろうね。例の人(・・・)が羽柴様と接触したようだし……数日の内には決着がつくんじゃないかな」

「榮枯盛衰乃世間定律。倚仗名門美名、忘卻精進之人,未來不會降臨於他。」

「栄枯盛衰は世の定め。名家の美名に胡坐をかき、精進を忘れた者に未来は訪れぬ」

「嘛,為了不留戀,乾脆一刀兩斷收了他──這就是武士的憐憫。交給我吧,我會一刀兩斷的。」

「ま、未練が残らないようすっぱり介錯してやるのが武士の情け、ってな。任せておけ、俺が一刀両断してやるよ」

「喂喂勝蔵君,不能真的一刀兩斷。這次的作戰關鍵在於義景啊。」

「こらこら勝蔵君、一刀両断したら駄目。今回の作戦は義景が肝なのよ」

「放心吧,靜醬。若勝蔵要做蠢事,我會揍他到停手為止。」

「安心しな、静っち。勝蔵が馬鹿をやりそうになったら、ぶん殴ってでも止めるからさ」

靜子擔心若慶次真的去揍人會不會演變成一場大亂鬥,但她又無法留在現場,只能信任眾人。

慶次が殴って止めたら、その場で大乱闘が始まらないか不安になった静子だが、その場に静子は居合わせられないから信じる他なかった。

「饒了人吧。在敵人面前同袍自相殘殺可不行。」

「勘弁してよ。敵の前で味方同士が争うなんて」

「失禮了。我也有辨明情勢的分辨力……應該有吧?」

「失礼だな。俺にだって状況を弁える分別はある……はず?」

「你幹嘛自己說了又自己懷疑。更讓人不安了。不過說也沒用。話說這次只有慶次和勝蔵有出場機會,其他兩位會不滿嗎?」

「なんで自分で言って自分で疑問に思うの。余計不安になるよ。まあ言っても始まらないか。しかし、今回は慶次さんと勝蔵君しか活躍の場がないから、他の二人は不満があったりする?」

才藏與高虎負責本陣防守。即便慶次等人正在大鬧,兩人也肩負著保護靜子的重大而樸實的任務;至於足滿甚至不被允許離開本陣。

才蔵と高虎は本陣の守り。慶次達が暴れている頃でも、静子の護衛という重大だが地味な仕事を担う。足満に至っては本陣を出る事すら許されない。

因為不能期待華麗的戰功,靜子便詢問是否會感到不滿。

華々しいいくさ働きが期待できないから、不満はないかと静子は訊ねてみた。

「某人久違地能做回馬廻衆該做的事,頗為滿足。」

「某は久々に馬廻衆らしい仕事が出来て満足しております」

「當然也想在戰場上立下武功,但這次直覺告訴我安分守己為吉,因而並無不滿。」

「勿論、いくさ場での武功を立てたい思いもありますが、此度は大人しくしているのが吉と勘が囁くので、不満もありません」

「是嗎,太好了。有希望就說吧。我會盡我所能。」

「そう、良かった。希望があれば言ってね。できうる限りの事はするから」

「多謝靜子大人的關懷。」

「静子様のお心遣いに感謝致します」

才藏與高虎聽了靜子的話深深低頭致意。

静子の言葉に才蔵と高虎が深々と頭を下げる。

「不必猶豫。靜子只要下命令便可,我只會服從回應。」

「迷うな。静子はただ命じれば良いのだ。わしはそれに応えるのみ」

足滿斷然無礙地說出此言,彷彿理所當然。靜子苦笑道,真是他的風格。

足満はそれが至極当然と言わんばかりに淀みなく言い切る。彼らしい、と静子は苦笑した。

「好,那麼談話就到此。接下來我要去討好奇妙大人。他就近在旁卻放著兩天不管,聽說他很生氣。」

「よし、それじゃあ話は終わりね。さて、私はこれから奇妙様のご機嫌を取ってくる。近くにいるのに二日も放置とは何事だ、とおかんむりらしいからね」

「那是大任啊。加油,靜醬」

「それは大役だな。頑張れ、静っち」

慶次對重重嘆氣的靜子說了句完全不放在心上的話送她離開。

重いため息を吐く静子に、慶次が欠片も思っていない言葉を吐いて彼女を見送った。

信忠的營地籠罩著不安的氣氛。他根本不想掩飾的不悅,讓整個營中散發出陰鬱的氛圍。

信忠の陣は不穏な空気に包まれていた。不機嫌さを隠そうともしない信忠に当てられ、陣中が陰鬱な空気を発しているようだった。

信忠已被內外視為信長的繼承人,將來會接掌天下。想到這點,家臣們便害怕做出會惹其不快的言行。

信忠は既に信長の後継者として内外に知られ、いずれ天下人を継ぐことが決まっている。それを考えれば、家臣たちは信忠の機嫌を損ねるような言動を恐れるようになる。

「真希望你別再繃著臭臉了吧」

「いい加減、ふくれっ面を引っ込めて欲しいな」

不過在靜子眼中,茶丸(奇妙丸)時期的印象很深,不管過了多久還是覺得他像個讓人操心的弟弟。

ただし静子から見れば茶丸(奇妙丸)時代の印象が強く、いつまで経とうと手の掛かる弟のように思えた。

自從元服以來,信忠奉命在各地作戰,但從未有一次和靜子並肩作戰。

元服して以来、信忠は信長の命により、各地で戦ってはいるが一度として静子と戦場を共にすることは無かった。

因為靜子所征戰的戰場全都危險至極,隨時有人命喪黃泉都不足為奇。就連以豪膽著稱的信長也不會把嫡男丟在那種地方。

何しろ静子が戦ってきた戦場は、いつ誰が死んでもおかしくない危険極まりない場所ばかりだったからだ。豪胆で知られる信長も、流石に嫡男をそのような場所にはおいておけない。

然而這次討伐淺井與朝倉,信忠以為能並肩作戰,胸中滿懷期待。

しかし、此度の浅井・朝倉討伐ならば肩を並べて戦える。そう信忠は期待に胸を膨らませていたのだった。

但事實一揭曉,靜子待在遠離戰線的後方,專心支援與調整各陣營,雖然到處奔走看似忙碌,卻沒打算上前線。

しかし、蓋を開けてみれば静子は戦線から遥か離れた後方に留まっており、各陣営の支援や調整に徹している。あちこち動き回って忙しそうにしているが、前線に出る気配はない。

信忠的不悅讓家臣們畏縮不前,結果他的本陣陷入失能。

そんな信忠の不機嫌さは家臣を萎縮させ、結果的に彼の本陣は機能不全に陥っていた。

「我理解靜子是奉父上之命行動。但無聊的事就是無聊。」

「静子が父上の命で動いているのは理解している。だが、つまらぬものはつまらぬ」

「話雖如此,那是無可替代的工作啊,也沒辦法。說不定這次的戰事能一舉滅掉淺井與朝倉。」

「そうは言ってもね、代わりの利かないお仕事だし、仕方ないじゃない。今回のいくさ如何で、浅井・朝倉の両方を滅ぼせるかもしれないからね」

「淺井大概會被羽柴那邊討取,輪不到我們出手。朝倉則是父上親自策劃,絕無我們能露面的機會。我本還期待能和靜子同袍作戰的。」

「浅井は羽柴辺りが討ち取るだろう。こっちの出る幕はない。朝倉は父上が直々に策を練っておられる。万が一にも我らの出る場面はあるまい。このいくさならば静子との共闘が出来ると楽しみにしていたのだがな」

「就算你這麼任性地說……」

「我が儘を言われてもねえ……」

「知道了、知道了。我已聽到耳朵長繭了,知道這是我的任性,也知道別輕易袒露心情。」

「判っている、判っているさ。これが俺の我が儘だということも、不用意に己の心情を晒すなということも、耳にタコができる程に聞かされた」

靜子抓了抓頭,面對口裡說懂卻看不出真心信服的信忠,便開始討好他的情緒。

口では理解しているようだが、到底納得しているようには見えない信忠の態度に、静子は頭をかきつつも彼のご機嫌を取りにかかる。

先讓信忠的家臣退下。即使他們在場也無法扭轉局面,反而是被逼緊張的他們更需要休息。

ひとまず信忠の家臣を下がらせる。彼らが居ても状況は好転しないし、緊張を強いられた彼らにこそ休息は必要となる。

把家臣隔離後,既能營造出秘密作戰的氛圍,也更容易套出信忠的真心,是一舉兩得的策略。

家臣を引き離したことで秘密の作戦っぽく演出できるし、信忠の本音も引き出しやすくなるという一石二鳥の策だった。

「那麼,你不高興是和羽柴大人與明智大人兩方都有關係嗎?」

「それで、不機嫌なのは羽柴様と明智様の双方が関係しているのかな?」

信忠被看穿心事,露出驚愕表情,凝視著靜子。

本心を見抜かれ驚愕の表情を浮かべつつ、信忠は静子を見つめる。

「這推理並不難啊。你是嫡男卻沒什麼顯著的軍功,而那些跟隨上樣奔走四方、立下無數武功的重臣們,難免會被拿來比較,焦慮也是理所當然。」

「そんなに難しい推理じゃないよ。嫡男だけれど目立った武功がない君と、上様に従って各地で数々の武功を立てた重臣。どうしても比べてしまって焦るのは仕方ないよね」

「真讓人難分你是仍舊敏銳還是有疏漏。沒錯,我很焦慮。我知道年紀不同,拿來比較沒意義,但未來能讓我建功立業的戰場,或許根本不存在了。」

「相変わらず鋭いのか、抜けているのか判断に苦しむな。そうだ、俺は焦っている。そもそも歳からして違うのだから比べても仕方ないのは判っている。しかし、俺が武功を立てられる戦場はこの先、存在しないかも知れぬのだ」

信忠或許因為對靜子不需逞強,便坦率地吐露心情。

信忠も静子相手に強がる必要がないためか心情を素直に吐露する。

靜子的預測正確。信忠的戰功若說是討伐長島一向宗,但那也只是順勢而為,是被鋪好局面的勝利,難以堂堂正正地自豪。

静子の予想は正しかった。信忠の武功と言えば長島一向宗討伐であるが、あれは十分にお膳立てされた状況に乗っかっただけであり、素直に誇ることが出来ない。

他打仗的年數只有幾年,與一生大半在戰場上打拼的秀吉或光秀相比,自慚形穢。

いくさ働き自体が数年程度なのだから、生涯の半分以上を戦い続けている秀吉や光秀と自分を比べることが烏滸(おこ)がましい。

信忠自己也明白這點,卻仍被急躁驅使。

そう信忠自身も理解してはいるのだが、気ばかりが急いてしまう。

他擔心若就這樣沒什麼武功就接任信長,部下們是否會服從他。

このまま大した武功もなく、信長の後釜に収まったとして、果たして部下たちは自分に従ってくれるのだろうかと。

信忠至少想要親手贏得配得上天下人寶座的武功。

せめて天下人の椅子に相応しい、武功を自らの手で勝ち取りたいと信忠は思っていた。

「這是我的心得,我認為人生可比作登山。看不清山有多高,但人人都向著頂峰一步步前進。那條路充滿不如意與試煉,往往看不到前路而迷失。但若把迷失的理由歸咎於『他人』,就再也無法重新踏出腳步了。」

「これは持論なんだけどね、人生は登山に喩えられると私は思うの。山の高さは判らない、けれど誰しも頂上を目指して一歩ずつ進んでいく。その道は不如意で試練に満ちている。先行きの見えない道行に迷ってしまうかもしれない。だけど迷った理由を『他人のせい』にしたら、二度と歩き出せなくなると思う」

「……」

「……」

「茶丸君,你很焦躁。你近距離見過羽柴大人、明智大人,還有上樣所攀登的山有多高,以及他們的步伐。但目標的頂峰、到達山頂的路徑、以及持續前行的步調都各自不同。沒必要看別人的步伐焦慮,被他人步調擾亂而挫折。以你現在能走的節奏一步一步前進,比站著焦慮更能向前。」

「茶丸君、君は焦っている。羽柴様、明智様、そして誰よりも上様の歩んでこられた山の高さと、その歩調を間近で見ていたからね。だけどね、目指す頂(いただき)も、山頂へ至る道も、歩み続ける歩調だって人それぞれだよ。他人の歩調を見て焦り、自分の歩調を狂わされて挫折する必要はないんじゃないかな? 君が今歩ける歩調で、一歩一歩進んでいく方が、立ち止まって焦っているよりも前に進めるよ」

聽完靜子的話,信忠搔了搔嘴頰。

静子の話を聞き終えた信忠は頬を掻いた。

靜子想表達的是,與其有時間嫉妒他人,不如為了提升自己,現在就放手往前衝。

静子がなにを言わんとしているのか、それは他人に嫉妬している暇があるのなら、己を高めるためにも今は我武者羅(がむしゃら)に前に進め、である。

被靜子那既繞嘴卻充滿體貼的話語感染,信忠感覺緊繃的力道鬆弛了。

静子らしい回りくどくも思いやりに満ちた言葉に、信忠は強張っていた力が弛(ゆる)むのを感じた。

「啊—算了!跟靜子談話時,總覺得自己的渺小令人討厭。」

「あーもう良い! 静子と話していると、己の小ささが嫌になる」

信忠手捂臉看向天空。

顔に手を当てて信忠は空を見る。

(這樣下去不管多久都會被當成小孩子。)

(これではいつまで経っても子ども扱いだ)

已行元服,社會上成了大人,但那只是外表,信忠深刻體會到內心仍是個孩子。

元服を迎え、社会的には大人になった。しかしそれは外側だけで、中身は依然として子供のままだと信忠は思い知らされた。

對他人軍功焦慮、把氣撒在周圍人的人,沒有人會追隨。

他人の武功に焦り、周囲に八つ当たりをするような者に人は付いてこない。

信忠想起了靜子曾說過的話:越是在困境時就越要厚顏無恥地笑。

苦境にある時ほどふてぶてしく笑え、かつて静子が言っていた言葉を信忠は思い出した。

「那麼,心情好轉了嗎?」

「それで、機嫌は直ったかな?」

「好啦好啦。那個,你有什麼好計策嗎?」

「直った直った。で、だ。何か良い策はないか?」

靜子心裡暗想快速調整心情是美德,便把手托在下巴思考。過了一會兒想出了一個好主意。

切り替えが早いのは美点だな、と内心思いつつ静子は顎に手を当てて考える。少しして良い案が思いついた。

「聽我說。其實呢——」

「耳を貸して。実はねーー」

八月十三日的夜晚,天氣惡化,伴隨強風與雷雨。後世《信長公記》與朝倉家記錄中都留下了「此夜為暴風雨」的記載。

八月十三日の夜、強風と雷雨を伴う激しい雨模様となった。後の世でも「この日の夜は暴風雨であった」と信長公記や朝倉家の記録に残されている。

若在戶外,不到一分鐘便會全身濕透;轟鳴的雷聲與拍打的雨聲使周遭的聲響幾乎無法聽見。

屋外に居ようものなら一分と経たずに濡れ鼠となり、轟く雷と打ち付ける雨音で周囲の音もろくに聞こえない状態であった。

守護大嶽(おおずく)城的人們皆退居守備,只有少數哨兵在黑暗中凝視。

大嶽(おおずく)城を守る者たちは皆引き篭もり、僅かな物見だけが闇に目を凝らしていた。

「出陣!!」

「いざ、出陣!!」

在黑到連捏住鼻子也分不出方向的夜裡,信長僅率領馬廻衆出陣前往大嶽城。由於前方的焼尾砦已經失守,他們得以未受損傷地接近大嶽城。

鼻をつままれても判らない程の闇の中、信長は馬廻衆のみを率いて大嶽城へと出陣した。手前の焼尾砦は既に落ちているため、彼らは無傷で大嶽城へと迫る。

眼看就要看到大嶽城的燈火時,信長察覺到了異狀。他一度以為敵方發現夜襲而應戰,但很快察覺自己誤會了。

目指す大嶽城の明かりが見えようかと言うところで、信長は異変に気が付いた。敵側が夜襲に気付いて応戦してきたのかとも考えたが、すぐに思い違いと悟る。

「衝啊!! 衝啊!!」

「かかれぇ!! かかれぇ!!」

信忠已經在攻打大嶽城。這對信長而言也屬意料外,但他想到會想出此計的人選,嘴角浮現笑意。

信忠が既に大嶽城を攻めていた。流石の信長にも予想外の事態だったが、こんな策を思いつきそうな人物に思い当たり笑みを浮かべる。

信長將馬靠近高聲叫喊的信忠,並以不輸給雷雨的大嗓門回應。

大声を上げている信忠の近くまで馬を寄せると、雷雨に負けない大声で呼びかけた。

「奇妙!! 竟然沒告知我就攻進來了!!」

「奇妙!! わしに断りなく攻め込むとはな!!」

聽見信長的聲音,信忠回頭。他回望信長,咧嘴一笑。

信長の声に気付いた信忠が振り返る。彼は信長を見返してニヤリと笑った。

「父上您說什麼!! 雷雨在織田家是吉兆!! 不可放過這個機會!!」

「何を仰います、父上!! 雷雨は織田家においては吉兆!! この機会を逃す手はありますまい!!」

「還敢滿口大話!! 眾將士!! 別輸給奇妙!! 衝啊!!!」

「いっぱしの口を叩きおる!! 皆の者!! 奇妙に負けるでないぞ!! かかれぇ!!!」

除了信忠的馬廻衆外,信長的部隊也加入了攻城行動。

信忠の馬廻衆に加え、信長の手勢も城攻めに加勢した。

對此情勢,受任守備大嶽城的齋藤刑部少輔(さいとうぎょうぶしょうゆう)及其麾下士兵,自始至終被迫處於被動。

この事態に対し、大嶽城の守備を任された斉藤刑部少輔(さいとうぎょうぶしょうゆう)や配下の兵は、終始後手に回ることを強いられた。

當他們意識到信忠軍的接近時,城門已被攀上,刀刃抵在咽喉之上。

信忠の軍勢の接近に気付いた時には、既に城門に取りつかれ、刃を喉元に突き付けられた状態となっていた。

在這場雷雨中,友軍發覺並趕來支援的可能性極低;即便想呼叫援軍,也因織田軍的包圍而不知應從何處突圍。

この雷雨では友軍が気付いて駆けつけてくれる可能性は低く、援軍を呼ぼうにも織田軍の包囲を抜けてどちらに走れば良いのかすら判らない。

面對氣勢洶洶的織田軍,他們只能以寥寥數百名疲憊不堪的士兵守住城池。

血気盛んな織田軍を相手に、僅か数百名の疲れ切った兵のみで守り抜かねばならない。

與仍然急進、迎風而上的織田軍形成對比的是,遭到攻入的朝倉兵士氣不斷低落。

暴風雨を受けつつも逸(はや)る織田軍とは対照的に、目前まで攻め込まれた朝倉兵の士気は下がり続けた。

「別輸給父上的部隊,衝啊!!」

「父上の手勢に負けるな、かかれぇ!!」

就這樣,靠信長與信忠的閃電作戰,大嶽城在短短數小時內陷落。直到雨停後的翌日清晨,沒有人發覺大嶽城已被攻佔。

こうして、信長と信忠の電撃作戦により、大嶽城は僅か数時間で陥落した。大嶽城の落城は、雨の上がった翌日早朝まで誰にも気づかれることが無かった。

「竟然已經被攻下大嶽城了嗎!」

「もう大嶽城を落とされたと言うのか!」

大嶽城陷落的消息使淺井與朝倉陷入恐慌,但織田軍也多少動搖。畢竟才通過策反取得焼尾砦兩日,淺井與朝倉便陷入絕境。

大嶽城陥落の報に浅井・朝倉は恐慌状態に陥ったが、織田軍も少なからず動揺していた。何しろ焼尾砦を調略して僅か二日、これで浅井・朝倉は詰みの局面を迎える。

對信長的閃電行動,家臣們也需掌握情況。秀吉將秀長、竹中半兵衛及其他主要家臣召集起來開軍議。

信長の電撃的な行動に、家臣たちとて状況把握が必要な状態だった。秀吉は秀長や竹中半兵衛、その他主だった家臣たちを集めて軍議を開く。

「沒想到上樣竟會親自被攻下……聽說奇妙大人先行攻入,我等落後了。」

「まさか上様自ら攻め落とされるとは……奇妙様が先に攻め込まれたとある、我らは後れを取ってしもうた」

秀吉一邊嘆息一邊興奮難抑。他攤開地圖,用筆畫出淺井與朝倉被完全切斷的狀態。

秀吉は嘆きつつも興奮冷めやらぬ様子で話す。地図を広げると、浅井と朝倉が完全に分断された状態を筆で書き加える。

傳令帶來的文書記載,信長接著攻向丁野城,信忠則被委以守備大嶽城。

伝令の齎した文には、信長はそのまま丁野城を攻めに向かい、信忠は大嶽城の守備を任された。

文中還提到,原本照理會被根切的將士,不知何故被信長驅趕至朝倉本陣。

この時、通常であれば根切りにされる将兵を、何故か信長は朝倉本陣へと追いやったとあった。

秀吉無論如何思索也想不出信長的用意所在。

信長の狙いが何処にあるのか、秀吉ではいくら考えても何も思い浮かばなかった。

不僅秀吉感到混亂,程度不同的其他武將也同樣無法理解信長的行動。

秀吉だけが混乱している訳ではなかった。程度の差はあれど、他の武将たちも同様に信長の行動を理解できずにいた。

不久信長以調略奪取丁野城,逐出守軍後在丁野城倒油縱火焚燒。

やがて信長は丁野城を調略によって取り込み、守りの敵兵を追い出した後、丁野城に油を撒いて火を放った。

事情辦妥後,信長在丁野城附近招集諸將。

それらを終えると、信長は丁野城付近で武将たちを招集した。

「今晚朝倉必定會撤退。聽著,別錯過這個機會! 朝倉必然撤退,突襲其背後,殲滅朝倉。」

「今宵朝倉は必ずや撤退する。良いか、この機を逃すでないぞ! 必ず朝倉は撤退する。奴らの背後を突き、朝倉を殲滅するのじゃ」

信長再三向武將們叮嚀,他的話語中毫無猶豫,顯示他確信今夜朝倉會撤退。

再三にわたって信長は武将たちに言い聞かせた。彼の言葉には一切の迷いがなく、彼が今夜の朝倉撤退を確信している事を告げていた。

然而,接受到信長這類近乎預言性發言的武將們,對於沒有根據的斷言感到困惑。

しかし、信長の予言とも言うべき発言を受けた武将たちは、根拠が示されない発言に戸惑っていた。

已經淺井與朝倉雙雙成了死局,而能在短短數日內做到這點的信長手腕,真是令人稱讚。

既に浅井・朝倉共に死に体であり、それを僅か数日で成し遂げた信長の手腕は見事と言う他なかった。

然而,不管信長多麼厲害,他終究不是神;要能準確說出敵軍撤退的日期,讓人一時難以置信。

しかし、如何な信長とて神ならぬ人の身。敵が撤退する日取りすら言い当てられるものなのかと、俄かには信じられないでいた。

若當時就能不管冒犯信長而套出朝倉撤退的理由,他們那次沉重的失敗本可被事先避免。

この時、信長の勘気に触れようとも朝倉撤退の根拠を聞き出せていれば、彼らの手痛い失敗は未然に防げたであろう。

「果然,哪個武將都沒半點要動的樣子呢」

「やっぱり、どの武将も動く気配がないね」

天色已晚仍未整備打仗,靜子嘆息不已。

日が暮れてもいくさ支度が為されないことに、静子は嘆息する。

信長雖一再預告朝倉軍會撤退,柴田與佐久間等武將的陣營卻一片寂靜。

信長が繰り返し朝倉軍の撤収を予告したのだが、柴田や佐久間たち武将の陣は静まり返っていた。

從地圖和戰況一看就一清二楚,她心想也許信長沒說明過吧。

地図と戦況を見れば一目瞭然なのだが、信長が説明しなかったのかなと彼女は考えていた。

朝倉本陣在田上山。若從本陣方向看到大嶽城與丁野城方向冒起煙,他們會陷入怎樣的心境呢。

朝倉本陣は田上山にある。本陣から大嶽城と丁野城が見える方角から煙が立ち上がれば、彼らが如何なる心境に陥るのか。

這場戰的勝負已定,淺井家只能被信長滅掉。

このいくさの勝敗は決し、浅井家は信長に滅ぼされるしかない。

儘管迄今屢次失態、逐漸失去家臣信任,義景仍硬撐著出兵。

今までに数々の失態を演じ、家臣たちの信頼を失いつつある状態にもかかわらず、義景は無理を押して出兵している。

朝倉家的主力重臣拒絕出陣,將士士氣低落下的出兵。

朝倉家主力の重臣が出陣を拒否し、将兵の士気が低い状態での出陣だった。

再加上大嶽城與丁野城的陷落,義景已無力留住將士。即便此處高呼徹底抗戰,也不會有人跟隨。

そこに来て、大嶽城と丁野城の陥落である。もはや義景に将兵たちを留め置ける力は無かった。ここで徹底抗戦を叫んでも、誰一人付いては来ないだろう。

就算逼到斷後路硬戰,將士的心已偏向撤退。若開戰幾無勝算,一旦敗北朝倉家便會瓦解。

退路を断って無理やり戦う状況へと追い込んでも、将兵たちの心は撤退に傾いている。戦えばまず勝てず、ここで負ければ朝倉家は崩壊する。

即使不打仗,也可能會有人率先通敵投向織田家。

戦いにならずとも、率先して織田家に内通する者が出るやもしれない。

「奇妙大人雖然被困在大嶽城動彈不得……但明智大人差不多也該會採取些行動吧——」

「奇妙様は大嶽城から動けないから良いとして……そろそろ明智様ぐらいは、何か行動を起こしそうではあるかなー」

靜子沒有被召去參與朝倉夜襲,作為壓制淺井的角色與才藏、高虎一同在本陣待命。

朝倉夜襲に関して静子は呼ばれておらず、浅井の抑え役として才蔵、高虎と共に本陣で待機していた。

靜子悠閒地望著夜空,邊回想星座與星辰運行以打發時間,那片悠閒時光被小姓急促接近的腳步聲劃上句點。

静子は気楽な様子で夜空を眺め、星座と星の運行について思い出しつつ暇をつぶしていた。そののんびりした時間は、小姓が急ぎ足で近づいてくる音で終わりを告げる。

「靜子大人,明智大人已到我方陣中」

「静子様、明智様が我が陣へお越しになりました」

「快請帶他來這邊。恐怕已沒有多少時間了」

「急ぎ、こちらへご案内して。おそらく時間的猶予はありませんから」

「哈? 哈哈」

「は? ははっ」

小姓被靜子像早已知曉光秀的用件般的話語嚇了一跳,但立刻回頭帶著光秀與三名家臣返回。

まるで光秀の用件を知っているかのような静子の言に呆気にとられた小姓だが、すぐに踵を返し光秀と三名の家臣を伴って戻ってきた。

「冒昧在先,因為時間不夠,還請免去無謂試探」

「不躾ながら時間がないゆえ、腹の探り合いはご容赦願いたい」

「您是要談關於對朝倉軍的夜襲吧。如上様反覆所言,首先可以確定的是今夜朝倉軍會撤退」

「ご用件は朝倉軍への夜襲についてですよね。上様が再三仰ったように、まず間違いなく今宵朝倉軍は撤退するでしょう」

「雖然力有未逮令人惋惜,但目前最能理解上様心思的,是靜子殿。能否告知為何這麼判斷?」

「力不足が悔やまれるが、今一番上様のお心を理解しておられるのは静子殿だ。何故、そうお考えになるのかご教示願えまいか」

「也摻雜了我的看法,但若您不介意的話」

「私の考えも混じっていますが、それでも宜しければ」

對於靜子的前置,光秀低下頭。無論對象是誰,若要乞求教導便會低首垂頸,這是他人做不來的本事。

静子の前置きに、光秀は頭を下げる。相手が誰であれ、教えを乞うのであれば首(こうべ)を垂れる。他の者には出来ない芸当であった。

也正因如此,短時間內便能升至織田家中首席的位置吧。

だからこそ、僅かな期間で織田家家中の筆頭にまで上り詰められたのであろう。

「各陣營的布陣情況想必已知此略過。首先請從朝倉軍的立場來想」

「各陣営の布陣状況についてはご承知だと思いますので省略します。まず、朝倉軍の視点でお考え下さい」

光秀與靜子隔著一張小桌子相對坐。桌上放著顯示現況的地圖,靜子用筆在地圖上加了細小的線與箭頭。

小さい机を挟んで光秀と静子が向かい合う。机の上には現状を示した地図が置かれていた。静子はその地図に筆で小さな線と矢印を書き加える。

「朝倉軍的將兵們應該已看見從大嶽城、丁野城方向升起的煙。兩城被奪之後,朝倉軍已失去小谷城一帶的守備。在沒有防禦設施的本陣,無人會想徹底抗戰吧」

「朝倉軍の将兵たちは、大嶽城と丁野城の方角から煙が上がるのを見たでしょう。二つの城が落とされた今、朝倉軍は小谷城近辺の守りを失った状態です。防衛施設も無い本陣で、徹底抗戦しようと考える人はいないでしょう」

「嗯」

「ふむ」

「接著是朝倉家當主義景。他因過去的失誤與此次戰況而失去號召力。說到底,甚至有家臣以『身體不適』為由拒絕出陣。眼見淺井的命運已盡,留在一乗谷防守更合情理。且若要撤退,越早越好。時間拖越久,就會越多人倒向我們」

「次に朝倉家当主義景です。彼は過去の失態とこの戦況によって求心力を失っています。そもそも、このいくさにしても『体調が悪いから』と出陣を拒んだ家臣が居るほどです。浅井の命運が尽きたことが誰の目にも明らかな今、一乗谷で防衛する方が理に適っていますからね。そして撤退するなら早ければ早い程良い。時間が経つほどに、我々へ寝返る武将が出ますから」

「原來如此。若能看透到那種程度,上様預告今夜朝倉軍撤退也就理所當然了」

「なるほど。そこまで読めれば朝倉軍が今宵撤退すると、上様が予告されるのも当然か」

義景剩下的時間不多。若像以往優柔寡斷錯失良機,這一次家臣可能真會看不下去,甚至有人帶著首級作為見面禮投向織田家。

義景に残された時間は少ない。今までのように優柔不断で機を逸すれば、今度こそ家臣たちに見限られ、首を手土産に織田家に寝返る者が出る可能性すらある。

為了展現與以往不同之處,義景立刻做出決斷,當然是撤退到一乗谷。

今までと違うところを見せるためにも、義景は即座に決断した。無論、一乗谷へと撤退する決断を。

對義景而言是首次的英斷,然而信長早已料到義景會如此決定而有所行動。正因如此信長才會預告今夜朝倉軍會撤退。

義景からすれば初めての英断。しかし信長は義景がそう決断することまで織り込み済みで動いていた。故にこそ信長は、今宵朝倉軍は撤退すると予告したのだ。

「沒錯。我想差不多是朝倉軍開始撤退的時候了」

「そうです。そろそろ朝倉軍の撤退が始まる頃ではないかと」

帶著兩萬大軍撤退需迅速行動,但朝倉軍沒有快速行軍的經驗,再加上前幾日的大雨使地面泥濘。

2万もの軍を引き連れて撤退するには迅速な行動が求められる。しかし、朝倉軍は今まで迅速な行軍をした経験がない。更に先日の豪雨により、地面は泥濘化している状態である。

明顯會比平常花更多時間。

いつも以上に時間がかかるのは目に見えていた。

「交給明智大人這個」

「明智様にこれをお渡しします」

靜子把文書遞給光秀。光秀雖然歪著頭,但還是接下了遞來的文書。

静子は光秀に文を差し出す。光秀は首を傾げながらも、差し出された文を受け取る。

「這是什麼?」

「これは何でしょうか?」

「是給留在我陣中的鐵砲手的命令書。簡單來說就是『請遵從持有此文者的指示』。」

「我が陣に残っている鉄砲衆への命令書です。端的に言いますと『この文を持っている人の指示に従ってね』です」

「可以這麼做嗎?」

「宜しいのでしょうか」

「我已把自身託付給身後的兩人。此外,殲滅朝倉軍是上樣的目的。若因執著誰立了武功而錯失出擊機會,日後被人嘲笑的反而是上樣。」

「我が身は後ろの二人に預けています。それに、朝倉軍を殲滅する事が上様の目的です。誰が武功を上げた、という事に拘って叩ける機会を逃せば、後世で笑われるのは上様ですからね」

「那麼我便領受了這份恩惠。此恩日後必當回報,今次便先行告退。」

「ならば、有り難く頂戴致します。この御恩はいずれお返しいたしましょう。この場はこれにて失礼仕る」

光秀再次深深低頭,這次身後的家臣也都隨之行禮。靜子也跟著向光秀拱手行禮。

再度、光秀が深く頭を下げる。今度は後ろにいる家臣も続いた。静子も続く形で光秀に頭を下げる。

抬起頭後,光秀立刻整理坐姿,把文書收入懷中便迅速離去。等到他們的腳步聲消失後,靜子長舒一口氣。

頭を上げると、光秀はすぐさま居住まいを正し、文を懐にしまうと素早く出て行った。彼らの足音が聞こえなくなった頃、静子は息を吐く。

「靜子大人,是否對明智大人偏袒過頭了?」

「静子様、明智様に肩入れしすぎではないでしょうか」

高虎直到談話結束一直沉默,但光秀離開後終於提出了疑問。

話が終わるまで黙っていた高虎だが、光秀が立ち去ると疑問を口にした。

與其說是苦言,倒不如說他對平日廣泛支援的靜子偏向明智、給予明顯支持這件事感到不解。

苦言と言うより、今まで満遍なく支援していた静子が、光秀のみに目に見える支援をしたのが彼には疑問だった。

「又不是一定要給明智大人,先來拜訪的人都可以。若沒人來,鐵砲手也不會借出。我只是認為,在家臣中最相信上樣此番言語的人,恰好是明智大人罷了。」

「別に明智様でなくとも、最初に訪ねてきた人なら誰でも良かったんだよ。誰も来なければ、鉄砲衆を貸す事もなかった。今回の上様の発言を、家臣の中で一番信じようとしていたのが明智様だったってだけ」

「但也不至於把所有鐵砲手都借出去吧」

「しかし、何も鉄砲衆を全て貸すほどではないかと」

「這是有道理的。給你個線索,鐵砲一旦開火會發出巨大的響聲。你就能明白答案了。」

「ちゃんと理由はあるよ。考えの糸口を示そうか、鉄砲は撃てば大きな音を立てる。これで答えが分かるよ」

「……啊!」

「…………あっ!」

得到提示的高虎先是困惑,但很快想出一個答案。明白過來的高虎讓靜子滿意地點了點頭。

ヒントを与えられた高虎は困惑したが、やがてある答えに辿り着く。理解に至った高虎に静子は満足げに頷く。

「對,會成為宣告夜襲開始的嚆矢。我的支援不過是取得了第一支突擊和向其他將領發出信號的權利而已。當然,也可能有人察覺戰鬥開始卻不採取行動。」

「そう、夜襲の開始を告げる嚆矢(こうし)となる。私の支援は、一番槍と他の武将へ合図を送る権利を得たに過ぎない。もっとも、戦闘が始まったことに気付いても動かない人が出そうではあるけどね」

無論是新式火槍還是火繩槍,火藥爆發都會在周遭響起巨響。聽到聲音的話,機靈的人自然會察覺——朝倉軍正在撤退,而織田軍正在追擊。

新式銃であれ、火縄銃であれ、火薬が爆発する以上は大きな音が周囲に鳴り響く。音が聞こえれば察しの良いものは気付くだろう。朝倉軍は撤退し、それを織田軍が追撃していると言うことに。

靜子放鬆肩膀,隨即在附近躺了下來。

静子は肩の力を抜くと、その辺りに寝転がる。

「嘛,明日就會有結果了。」

「ま、明日には結果が出るよ」

朝倉義景決定趁夜色撤退。他留下少量兵力,命令他們高聲喧囂。

朝倉義景は夜闇に乗じて撤退することを決めた。彼は僅かな兵を残し、声を上げるよう命じた。

他認為只要高喊振奮士氣的鬨聲,織田軍就不會以為他們在撤退。

士気を高める鬨(とき)を上げれば、撤退しようとしているなどと織田軍は思わないと考えたからだ。

人數少的部隊比較容易撤退。為免天亮時被察覺,留下的兵要挑擅長周邊地形者。

少数の兵ならば逃げるのもたやすい。夜が明ければ撤退に勘づかれるため、残す兵は周辺の地理に詳しい者を選んだ。

然而這種小伎倆對堅定不疑的信長毫無作用。聽到鬨聲的織田家家臣以為朝倉沒有撤退,但信長與光秀卻確信撤退已開始。

しかし、そのような小細工は確信を得ている信長には何の効果も及ぼさなかった。鬨の報告を聞いた織田家家臣は朝倉が撤退しないと思ったが、信長と光秀は撤退が始まったと確信した。

最先襲擊撤退中的朝倉軍的是光秀。他與信長沒有等其他將領到來。沒有援軍的情況,對光秀卻是極為有利的。

撤退する朝倉軍に、最初に襲いかかったのは光秀だった。彼と信長は他の武将たちの到着を待たなかった。味方がいない事は、光秀にとって非常に有利に働いた。

「開火!!」

「撃てぇ!!」

一追上朝倉軍的殿後,光秀先以鐵砲手發起先制攻擊。暗處傳來震天的巨響與飛射的彈丸,朝倉軍必定大為驚駭。

朝倉軍の殿(しんがり)に追いつくやいなや、光秀はまず鉄砲衆で先制した。暗闇の向こうから轟音とともに弾が飛来する。さぞかし朝倉軍は魂消たであろう。

果不其然,朝倉軍陷入恐慌。接二連三倒下的士兵、悲慘的情景使得人人爭先恐後地逃跑。

案の定、朝倉軍はパニックに陥った。次々と兵が倒れていく惨状に、誰もが我先に逃げようと考えた。

侍從推擠主人、主人推擠侍從,驚呼與尖叫交織成的地獄畫面在各處上演。

従者は主人を、主人は従者を押しのけて逃げようとする阿鼻叫喚の地獄絵図が、至る所で繰り広げられた。

若有其他將領及時參戰,恐怕也無法如此肆無忌憚地以槍彈傾瀉。

他の武将たちが参戦していれば、こうも無遠慮に銃弾の雨を降らす事は出来なかったであろう。

在鐵砲手充分激起朝倉軍恐懼之後,明智軍主力蓄勢衝向朝倉軍。朝倉兵已無心戰鬥,明智軍卻毫不留情地砍殺。

鉄砲衆で存分に朝倉軍の恐怖を駆り立ててから、満を持して明智軍の主力が朝倉軍に襲いかかった。もはや戦う意思すらない朝倉兵たちだが、明智軍は容赦なく斬り捨てていく。

明智軍每前進一步,就有泥濘覆滿的朝倉兵屍體滾落,景象如同屍山血河。

明智軍が進むたびに、泥まみれの朝倉兵の死体が転がり、屍山血河もかくやという光景が現れた。

四周充滿了血與內臟所帶出的鐵鏽氣味,四處散落被拋棄的馬匹、兵器、軍旗等。

辺りには血と臓物が立てる鉄と錆の匂いが充満し、あちらこちらに乗り捨てられた馬や、武具、軍旗などが転がっていた。

這些都是朝倉軍究竟有多麼混亂的明證。

朝倉軍がどれほどに混乱しているかが容易に窺い知れる証拠であった。

明智軍突然從朝倉軍背後急襲。遭遇突如其來的槍擊,朝倉兵既不知敵軍規模,也不知從哪裡被攻擊,便只想往前逃。

明智軍は朝倉軍の背後を急襲した。突如として銃撃に晒された朝倉兵は、敵の規模も何処から攻撃されたのかも分からず、とにかく前へと逃げようとした。

然而因前一日的大雨,道路泥濘難行,無法如願前進。當一些人發現死神正從背後逼近時,便拼命逃竄,混亂愈演愈烈。

しかし、道は前日の豪雨によりぬかるみ、思うようには進めない。やがて死は背後から迫っている事に気付いた兵が死に物狂いとなって逃げ始め、混乱に拍車が掛かった。

為了自保有人甚至不惜踩踏前方的士兵,結果被捲入一股寧可踩死同伴也要逃命的瘋狂洪流中。

前を行く兵を踏みつけてでも、自分だけは助かりたいと遮二無二なった結果、味方を踏み潰してでも逃げようとする狂乱の渦へと飲み込まれた。

「什、什麼!! 上樣與明智殿竟然對朝倉軍實施夜襲!!」

「なにぃ!! 上様と明智殿が朝倉軍へ夜討ちをかけただと!!」

翌晨,沒等那些原本要他們去追擊朝倉軍的人抵達,信長已發動掃蕩戰,織田家中人才終於察覺。

明朝、朝倉軍への追撃を自身が命じた者たちの到着を待たず、信長が掃討戦を仕掛けた事に、織田家家中たちはようやく気付いた。

雖然已做了準備,但被鬨聲騙得大意的他們慌忙追趕信長。他們追上信長時,已接近刀根坂前。

準備をしていながら鬨の声ですっかり油断してしまった彼らは、大慌てて信長を追いかける。彼らが信長に追いついたのは刀根坂(とねざか)手前だった。

從路上的屍體與武具散落情形可見,曾發生過激烈的掃蕩戰,織田家的家臣們也明白了自己的失態。

道中の死体や武具の転がり具合から、激しい掃討戦が行われた事は明らかであり、織田家家臣たちは己の失態を理解した。

「難以原諒的失態」

「許しがたき失態」

對家臣們而言,比起朝倉兵的慘狀,更可怕的是信長那沉默的怒氣。信長生氣是理所當然的,這並非突如其來的命令;事前連先鋒武將都已決定,卻發生了怠慢。

家臣たちにとっては朝倉兵の惨状より、信長の静かな怒りの方が恐ろしかった。信長が怒るのも当然だ。突然命じた訳ではなく、事前に先鋒武将まで決めていた状態での怠慢だ。

結果武功落入光秀一人之手,其他人連表露不滿的臉都沒有,那些失態的將領只能低頭沉默。

結果的に武功は光秀の独り占めとなったが、それに対する不満を顔にすら出せるはずもなく、失態を演じた武将たちは俯いて黙るしかなかった。

「受命為先鋒者,前來」

「先鋒を任された者、前に出よ」

照信長所言,柴田與秀吉上前。信長對每人各揮下一拳。對所犯之失態,這是過於寬鬆的處置,原本即使判處斬首也不奇怪。

信長に言われた通り、柴田や秀吉が前に出る。信長は全員に一発ずつ拳を振り下ろした。犯した失態に対して緩すぎる罰だった。本来なら打ち首を言い渡されても不思議ではない。

「不會再說第二次。就以此為契機殲滅朝倉。」

「二度は言わぬ。これを機に朝倉を殲滅する」

「哈哈!」

「ははっ!」

「光秀(キンカン)!你帶領這些人,追擊朝倉。」

「光秀(キンカン)! 貴様はこやつらを率い、朝倉を追撃せよ」

那瞬間,討伐朝倉的最大武功者已定為光秀。滅亡朝倉家的武功將由光秀獲得,其他人無論做了什麼,只不過是協助朝倉滅亡的立場而已。

その瞬間、朝倉討伐の最大武功者は光秀に決定した。朝倉家を滅ぼした武功は光秀が得る事になる。他の者は何をしても朝倉家を滅亡させる助力をした、という立場に過ぎない。

「冒昧稟告上樣,他們是匆促趕來,且兵士疲勞已累,恐會徒耗兵力。此處恳請借用目前最無疲勞的靜子殿軍隊。」

「恐れながら上様、彼らは急ぎこの場に参じた様子。兵も疲労がたまっている状態ゆえ、いたずらに兵を消耗する可能性が高く存じます。ここは一番疲労がない静子殿の軍をお借りしとうございます」

「她在小谷城待命。現在呼來需要些時刻。」

「奴は小谷城で待機しておる。今から呼び寄せるには刻が必要ぞ」

信長聽了光秀的話帶著瞪視發出疑問。在那冷冽的眼光前,光秀仍維持平常的表情。

光秀の言葉に信長は睨みながら疑問を口にする。冷え冷えとした眼光を前に、光秀はいつもの表情を崩さなかった。

「已經派人招呼了。馬上就會到此。」

「既にお呼びしております。もう間もなく、こちらへ参られます」

如同證明光秀言語正確,信長察覺到遠處傳來馬群逼近的聲響。那麼多疊起的蹄聲,只有一支訓練有素的軍隊能做到。

光秀の言葉が正しい事を証明するが如く、信長は少し遠くから馬群が迫る音が聞こえることに気付いた。あれだけ重なった蹄の音を立てる程に練度が高い軍は一つしかない。

「哈!手腳真快!好吧。就憑先前的戰功,擅自呼來靜子一事不予追究。」

「はっ! 手の早い奴じゃ! 良かろう。前(さき)の武功に免じて、勝手に静子を呼び寄せた事は不問とする」

「承蒙寬待,深表感謝。」

「寛大な処置、有り難く思います」

「那麼此處的人,先讓兵休息後返回小谷城!速速整裝!」

「ではここにいる者は、兵を休ませた後、小谷城へ戻れ! 手早く準備せよ!」

其他的武將咬牙切齒,覺得被耍了。要扳回局面就得仰賴靜子軍的鐵砲隊。雖然說沒也可,但自軍將承受截然不同的損失。

他の武将たちはやられた、と歯ぎしりした。挽回するには静子軍の鉄砲衆が必要になる。なくても良いと言えば良いが、自軍が被る損害が桁違いだ。

既然靜子本人到來,武將們認為鐵砲隊一同率來是無疑的。光秀的狡猾與精算讓諸將不禁越發惱怒。

静子本人が来たという以上、鉄砲衆も率いてきているのは確実だと武将たちは考えた。光秀の狡猾さと計算高さに、武将たちは今さらながら怒りを覚えた。

「久等了,上樣。」

「お待たせ致しました、上様」

過了四分之一刻,靜子抵達信長所在的陣中。信長瞥了一眼靜子,接著轉向光秀。

四半刻後、静子が信長のいる陣に到着する。信長は静子を一瞥した後、光秀の方へ顔を向ける。

「キンカン,帶了多少鐵砲手?」

「キンカン、鉄砲衆は幾人連れて行く」

「理想是有突擊力,但若有三百人也足夠了。」

「出来れば突破力が欲しいですが、300もいれば問題ないと思います」

「靜子,帶了多少鐵砲手?」

「静子、鉄砲衆は何人連れてきた」

「小谷城前的陣中以玄朗為首,含預備兵約七百。這裡帶來了六百。」

「小谷城前の陣には玄朗を筆頭に予備兵含めて700。こちらには600連れてきております」

瞬間,諸將騷動起來。靜子的鐵砲隊是一千人的大編制。但若信她先前所言,鐵砲總數稍有增加。

瞬間、武将たちがざわつく。静子の鉄砲衆は1000名という大部隊だ。だが先ほど彼女の言を信じれば、少しだが鉄砲衆の総数が増えている事になる。

但同時有鐵砲隊也代表能更多次把握扳回的機會。各人心中藏著各種算計,思考接下來的行動。

だが同時に鉄砲衆がいるという事は、挽回する機会が多く得られるということでもある。各自、様々な思惑を腹に秘めながら、次に取る行動を考える。

「六百嗎……就改為四百,剩下二百配置於小谷城。你率領四百鐵砲手,與キンカン一同殲滅朝倉家。」

「600か……400にし、残り200は小谷城への配置とする。貴様は400の鉄砲衆を率いて、キンカンとともに朝倉家を滅ぼせ」

「是!」

「はっ!」

向信長行禮後,靜子立即著手準備。至此為止行軍稍為緩慢,但接下來需要追擊逃走的敵人,必須提高速度。

信長に礼をすると静子はすぐさま準備に取りかかる。今までは幾分ゆっくりした行軍をしていたが、これからは逃げる敵を追いかける速度が必要となる。

雖不確知光秀如何布置,預估為鐵砲衆和護衛兵在最前,之後是光秀的主力部隊,最後方為靜子的軍隊。

光秀がどういう配置をするかは不明だが、鉄砲衆と護衛役の兵が最前列、その後ろに光秀の主力部隊、後方に静子の軍という配置だろうと当たりをつけた。

「羽柴大人,現在方便嗎?」

「羽柴様、今、お時間は宜しいでしょうか?」

「嗯?怎麼了,靜子?」

「あん? なんじゃ、静子」

在織田家家臣備戰的空檔,靜子靠近秀吉。她知道自己的舉措被其他武將注視,仍保持微笑並遞上封書。

織田家家臣たちがいくさ支度を行っている合間を縫って、静子は秀吉に近づく。一挙一動が他の武将から見られていると理解している静子は、にこやかな表情を崩さず封書を差し出した。

「代為帶來了ねね大人的書信。內容有些害羞,吩咐在陣中讀(……)。」

「ねね様から文を預かっております。内容は恥ずかしいから陣で読んで(・・・・・)欲しいと仰せでした」

「蛤?欸……啊,真是抱歉。真是ねね那傢伙。」

「は? え……ああ、すまぬな。全くねねの奴」

秀吉一時間愣了片刻,隨即露出放蕩的表情。遠處觀看的武將沒察覺,但秀吉的眼中沒有笑意,簡而言之是僞裝的笑容。

一瞬呆けた顔をした秀吉だが、すぐにだらしない表情を浮かべる。遠巻きに見ていた武将は気付かなかったが、秀吉の目は笑っていなかった。端的に言えば作り笑いである。

秀吉立刻察覺靜子帶來的是不想讓外人知道的東西。

秀吉は、静子が何か他人には知られたくないものを渡してきたと瞬時に察した。

「原本想交給羽柴小一郎大人,但她說那類書信請直接交給兄上。」

「羽柴小一郎様に渡そうとしましたが、そのような文は兄上に直接渡して下さい、と言われました」

「真是沒辦法的傢伙啊。謝了,靜子。等會兒再看。」

「仕方ない奴じゃのぅ。ありがとう、静子。後で読む」

偷偷聽著的武將們也從靜子等人身上移開了注意力。雖然沒問題,但靜子仍然繃緊神經,提醒自己不可大意。

そこで聞き耳を立てていた武将たちも、静子たちから意識を外した。問題ないが、油断はしないようにと静子は気を引き締めた。

若其他人知道交給秀吉的是什麼,肯定會引發爭奪戰。為了避免那樣,有必要把內容偽裝成不會引起興趣的東西。

秀吉に渡したものが何か、他の面子が知れば確実に争奪戦になる。それを避けるためにも、中身は興味をひかれないものに偽る必要があった。

(並不是想與秀吉聯手,只是夜叉(淺井長政)先生怎麼也想參加小谷城之戰,才會這麼拼命)

(別に秀吉と手を組む気はないけど、夜叉(浅井長政)さんがどうしても小谷城攻めに参加したいと必死だから)

靜子漫不經心地想著:會不會是親人或熟人呢。實際上,那人是前小谷城的城主、淺井家的當主長政,他是為了再次獲得與父親交談的機會才如此行動。

身内か知り合いでもいるのかな、と静子は呑気に考えていた。実際は元小谷城の城主で、浅井家の当主である長政が、今一度父と話をする機会を得たいが為であるが。

靜子的打算、長政的打算以及秀吉的打算各自朝不同方向,但在小谷城這點上是一致的。這正是後來促成秀吉大躍進的武功根源。

静子の思惑と長政の思惑、そして秀吉の思惑は別々の方向を向いているが、小谷城という点では一致していた。それが後に秀吉の大躍進に繋がる武功の元となる。

「那麼告辭了。」

「それでは失礼します」

「喔,再會。」

「おう、またな」

兩人以簡短的寒暄道別。

軽い挨拶で二人は別れた。

當靠近自己陣地時,秀吉以近乎全速奔跑的速度衝向竹中半兵衛。竹中半兵衛被這股氣勢嚇得有些暈眩。然而,氣喘吁吁的秀吉帶著笑容說道。

自陣が近くなると秀吉は全力疾走に近い早さで竹中半兵衛の許へ駆け寄る。余りの剣幕に竹中半兵衛は目を回す。しかし、肩で息をする秀吉は笑みを浮かべつつ言った。

「快點回去。攻下小谷城的就是我。」

「急いで戻るぞ。小谷城を落とすのはわしじゃ」