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戦国小町苦労譚

1568年十二月中旬

濃姬隨行的廚師與靜子一行都往村子移動,彼此未曾碰面,靜子一行先到達了村子。

濃姫お抱え料理人達と静子一行の双方が村を目指し移動していた。お互いが顔を合わせる事なく、静子一行が先に村へと到着した。

她到村子後先解散了五百名士兵,然後整理自己的行李。

彼女は村に到着後、五百名の兵士を解散させてから自分の荷物を片付ける。

慶次一手拿著酒去洗澡,長可穿著甲冑衝上山,只有留下的才藏在守護靜子。對士兵們來說這是熟悉的日常景象。

慶次は酒を片手に風呂へ、長可は甲冑姿のまま山へ突撃、残った才蔵だけが静子の護衛を務めていた。兵士たちも見慣れたいつもの光景だ。

靜子整理好行李後轉往田地,因為大白菜到了收成期,要看看今天能收穫多少。

静子は荷物を片付けると畑へ移動する。白菜が収穫時期なので、今日収穫出来るものを探す為だ。

種植的大白菜個頭大,一個籠子只能放一兩顆,所以才藏也背起籃子幫忙收割。

栽培している白菜は大型故に、籠に一つか二つしか入らない。そのため才蔵も籠を背負って収穫を手伝った。

靜子背的籃子有兩顆,才藏背的籃子有兩顆,他手上還拿著一顆,總共收了五顆。

静子が背負っている籠に二つ、才蔵が背負っている籠に二つ、彼が片手に持っている一つ、合計五つを収穫した。

「時間上能做淺漬嗎……」

「時間的に浅漬けが作れるかなぁ」

「某人初次見到這種作物,故此有些期待。」

「某はこの様な作物、初めて見ます。それ故、少々期待しております」

在作物稀少的戰國時代,能取得多種多樣的蔬果本身就是一種樂趣。

作物が少ない戦国時代、多種多様の作物が手に入る環境はそれだけで娯楽となる。

性情難搞的才藏起初以為過度的奢侈有問題,但被靜子說的「一切在佛前平等」所說服,接受了她指定的飲食方式。

気難しい性格の才蔵は最初こそ過分な贅沢は問題と考えたが、静子の『全てのものは仏の前では平等』という言葉に納得し、彼女指定の食生活を取り入れる事を是とした。

新的生活習慣已熟悉後,酒僅作為嗜好,雞肉、鹿肉等野味,乾魚與乾魷等海產,以及村裡種的蔬菜都不挑食地食用。

新しい生活習慣が馴染んだ今は、酒は嗜む程度に飲み、鶏や鹿などの獣肉、干し魚や干しイカなどの海産物、村で栽培されている野菜類を好き嫌い言わず食べている。

「要做淺漬和鹽漬嗎?晚上應該可以當鍋物的配料──」

「浅漬けと塩漬けを作ろうか。夜は鍋の具材かなぁー」

「請等一下靜子大人。聽到那種事會讓人更快餓啊。」

「お待ちください静子様。その様な事を聞かされたら、腹の減りが早くなってしまいます」

「啊,抱歉。淺漬很快就能做,那就趕快做吧。」

「ああ、ごめんね。浅漬けはすぐ作れるから、さっさと作ろうか」

抱著收成的大白菜回到家,這時靜子與正在找她的彩不期而遇。

収穫した白菜を抱えて家に戻る。この時、静子は彼女を探している彩とすれ違ってしまった。

因此,靜子並不知道濃姬在信長的別莊,便在平常不會進入的廚房開始處理大白菜。

その為、濃姫が信長の別荘にいる事も知らず、静子は普段入らない調理場で白菜の調理に取り掛かる。

「做淺漬只要梅干和鹽昆布就行了呢。」

「浅漬けは梅干しと塩昆布があればいいね」

基本上大白菜並不是靠乳酸菌發酵來吃的漬物,因此與其他不同,可以做出簡便的漬菜。

基本的に白菜は乳酸菌発酵させて食べるお漬物ではない。故に他と違ってお手軽なお漬物が作れる。

先把大白菜洗乾淨去除污垢,再把菜心切約五毫米,葉部切約一公分,放入濾籃。

まず白菜をよく洗って汚れを取る。次に芯の部分を5ミリ程度、葉の部分を一センチ程度に切ってザルに入れる。

鹽昆布也剪成適當大小,梅干去核後用手撕成合適的塊狀。

塩昆布も適当なサイズにカット、梅干しは種を取って手で手頃なサイズに千切る。

把瀝乾的白菜、梅干和鹽昆布放入大碗中,輕輕揉捏混合三種材料。

水切りが終わった白菜、梅、塩昆布をボウルに入れ、優しく揉みながら三つの材料を混ぜる。

等變軟後蓋上落し蓋,靜置約三十分鐘。

しんなりしてきたら落し蓋をして三〇分ほど寝かせる。

「好了,完成了!」

「はい、出来上がり!」

靜置過的大白菜不用洗,稍微擠乾後直接盛盤即可完成。

寝かせた白菜を洗わず、軽く絞った後皿に盛るだけで完成だ。

「……有梅干所以稍微有點酸,但很好吃。缺點是會讓人想吃飯啊。」

「……梅干しが入っているので少々酸っぱいですが旨いです。飯が欲しくなるのが難点ですな」

「嘛──是呢。」

「まーねー」

靜子邊應和邊把一顆白菜切成四等分,剩下三顆原封不動,用布包好放在陰涼處保存。

相槌を打ちながら静子は白菜の一つを四等分する。残り三つはそのまま何もせず、布で包んで冷暗所に保管する。

常溫(五至十度)整顆可保存約三週,但若放在接近零度如冰室的環境則可保存近四週。

常温(五度から一〇度)でも丸ごとなら三週間は保管可能だが、なるべく氷室のように零度近い環境におけば四週間近く保つ。

靜子會在需要時小心取用所需量,但也盡量注意延長保存期限。

必要な時に必要な分を小まめに収穫するようにしているが、出来うる限り長期保存出来るように心掛けている静子だった。

「這個拿去日曬吧。」

「これは天日干ししておこう」

「某人想吃飯了。說起來沒看到彩殿的身影,她平時不會在午餐時間離家這麼久……」

「某は飯が欲しい所です。そういえば彩殿の姿が見えませぬ。彼女が昼食時に長時間家を空ける事などなかったはずですが……」

「偶爾也會有奇怪的情況啊──」

「珍しい事もあるものだねー」

說完後靜子抱著要日曬的大白菜出門,瞬間剛才提到的彩從眼前走過。

そう言った後、天日干し用の白菜を抱えて静子は家の外に出る。瞬間、先ほどまで話に上がっていた彩が目の前を通り過ぎていった。

但她立刻停下腳步,猛然回頭朝靜子奔來,快步跑到她身邊。

だがすぐに立ち止まると、すごい勢いで静子の方へ振り返り、駆け足で彼女の元へやってきた。

「呼、哈……我找過了,靜子大人。」

「ふぅ、はぁ……探しましたよ、静子様」

「咦?是從館主那裡來的傳令嗎?抱歉,我在收大白菜,可能在哪裡錯過了。」

「おや? お館様から伝令でもきたの? ごめんね、白菜の収穫をしていたから、どこかですれ違ったかも」

靜子對著擦額頭汗、調整呼吸的彩露出抱歉的表情。

額の汗を拭って呼吸を落ち着けている彩に、静子は申し訳ない顔をする。

起初臉頰微紅的彩,呼吸平復後又恢復了平常的無表情臉。

最初は頬が上気していた彩だが、呼吸が落ち着くといつものポーカーフェイスに戻った。

靜子心中微微覺得有些可惜。

勿体無い、と少しだけ思った静子だった。

「濃姬大人來訪了。抱歉,麻煩你前去接待。」

「濃姫様がご来訪されております。申し訳ありませんが、お相手お願い致します」

「欸,為什麼又是……」

「えー、また何で……」

「聽說是要誇耀一位稀奇的料理人……咳咳,想要介紹給大家。」

「なんでも珍しい料理人を自慢……コホン、紹介したいとの事です」

「那才是你的真心話吧。知道了,對不起彩醬,先幫忙一會兒。啊,如果飯有剩的話,能幫忙給才蔵先生就太感謝了。」

「そっちが本音だよね。分かった、とりあえず彩ちゃんには申し訳ないけど、少しだけ手伝って。あ、ご飯が余っていたら才蔵さんに出してくれるとありがたいかも」

「沒問題。今早煮的米飯應該還有剩,我會把那個端給才蔵大人。那麼稍後再見。」

「問題ありません。今朝、炊いた米が残っているはずです。それを才蔵様にお出しします。ではまた後程」

說完那句,彩便立刻向才蔵那邊走去。

それだけ言うと彩はすぐに才蔵の元へ向かった。

聽說是濃姬特別欽點的稀有料理人,但她並沒有抱太大期待。

濃姫肝いりの珍しい料理人、という触れ込みだったが、彼女は余り期待をしていなかった。

那是因為靜子的料理理念主要以「便宜、好入口、營養豐富」作為標準。

それは静子の料理に対する考えが、主に「安価で食べやすく栄養豊富である料理」が目安になっているからだ。

當然,追求美食並非壞事;光是吃到好吃的料理也能療癒人心。

勿論、美食を求めるのが悪いとは言わない。旨い料理を食べるだけで心が癒やされる事もある。

「稀奇的料理人嗎。雖然引起我的興趣,但鋪張奢華的美食並不適合我。」

「珍しい料理人ですか。興味はそそられますが、贅を凝らした美食は身に余ります」

「喔,靜子也會這麼說了啊。唉,從主人的角度看或許沒什麼好玩的,但偶爾還是陪妾的興致一回吧。」

「おお、静子も言うようになったな。ま、主から見れば面白くもないだろうが、たまには妾の趣向に付きおうておくれ」

「唉……」

「はぁ……」

「對了對了,也曾用書信邀請お市『偶爾過來這裡玩』,但聽說淺井大人不肯准許。真是的,胸襟狹窄的男人就是讓人頭痛啊。」

「そうそう、お市へも『たまにはこちらへ遊びに参れ』と書状(しょじょう)で誘ってはおるのだが、浅井殿が許可しないとの事じゃ。まったく、器の小さい男はこれだから困るのぅ」

「(欸,這種回答讓人難以回應……)嘛、嘛或許是因為擔心夫人吧……?」

「(へ、返答に困る事を……)ま、まぁ奥方が心配なのでは……?」

お市之方與淺井長政以夫妻感情融洽聞名。根據傳到現代的史實,即便在背叛信長之後,他們的夫妻關係也未曾出現裂痕,仍過著和睦的生活。

お市の方と浅井長政は、夫婦仲が良い事で有名だ。現代に伝わる史実では信長を裏切った後でも、夫婦仲に亀裂が入る事なく、仲睦まじい夫婦生活を過ごした。

お市生有三個孩子:茶々(豐臣秀吉側室)、初(京極高次正室)、江(德川秀忠繼室)。

お市は茶々(豊臣秀吉側室)、初(京極高次正室)、江(徳川秀忠継室)の三人の子がいる。

據說茶々生於永祿十二年,因此目前尚未生育任何孩子。

茶々が生まれたのが永禄一二年と言われているので、今は子を一人も産んでいないが。

「(啊,也就是說可能快要有孩子了所以不批准吧。那就能理解了)」

「(あ、つまり子が生まれそうだから許可が下りないのかな。それなら納得)」

「在那嘟噥些什麼。話說,所謂的白菜料理還沒上嗎?妾可等不及了啊。」

「何を呟いておる。それにしても、はくさいとやらの料理はまだかえ。妾は楽しみで仕方ないぞ」

濃姬帶著迫不及待的神情,忍不住期待起來;那種氛圍反而讓靜子冷靜下來,她難得顯得泰然自若。

待ち遠しいといった感じで濃姫は期待せずにはいられなかった。その雰囲気が逆に静子を冷静にさせたのか、彼女は珍しく泰然としていた。

與其說是在意即將上桌的料理,反而她的注意力被眼下正在進行的研發工作佔據。當前的主要研究是洗衣機,但因為偶然取得了少量硫磺,便也同時開始了ファクチス的研究。

それは間もなく供されるであろう料理よりも、現在手掛けている研究開発に意識を奪われていた。現在のメイン研究は洗濯機だが、ふとした機会に硫黄を少量だが入手する事が出来たので、ファクチスの研究も並行して開始する事にした。

雖不確定是否能達到可用於輪胎橡膠的性能,但至少作為橡膠替代品,其性能是相當可期的。

タイヤのゴムに使えるほどの性能があるか不明だが、少なくともゴムの代用品としては申し分ない性能が見込めた。

(說起來得用燕麥做燕麥片才行。作為嬰兒副食品相當優秀……只是麥子的氣味很重,喜好可能會有分別)

(そう言えばえん麦からオートミールを作らないと。離乳食としては優秀なのよね……麦の臭いが強いから、好き嫌いは別れそうだけど)

種植的燕麥大約在秋天栽種,現在已長到可以收穫的程度。

栽培したえん麦は秋ごろに植えたが、既に収穫可能なほど成長していた。

雖然無法確定精確的品種名稱,但推測是一種生長快速的品種:秋天種下可於冬季收成,若春季種下則可在秋季收穫。

正確な品種名が分からないのではっきり断言は出来ないが、秋から植えれば冬に、春頃から植えれば秋ごろに収穫が可能な成長の早い品種だろうと予測した。

特意收穫穀實的原因,是因為用燕麥做成的燕麥片作為嬰兒副食品具有高成本效益。

わざわざ実を収穫する理由は、えん麦から作るオートミールが赤子の離乳食として高いコストパフォーマンスを持つからだ。

燕麥片的製法很簡單,只要把去殼的燕麥壓扁或磨成粉狀即可。

オートミールの作り方は単純で、脱穀した麦を押しつぶしたり挽いて粉状にするだけ。

片假名表記容易讓人誤解,這不是「automeal」而是「oat(燕麥)meal(食物)」,泛指以燕麥為原料的各種食品。

カタカナ表記では解り難いがauto mealではなくoat(えん麦)meal(食事)であり、えん麦を用いた食品全般を指す。

衍生商品也很多,有只使用稱為フスマ、富含水溶性膳食纖維的外皮所製成的燕麥麩皮。

派生商品も多くあり、フスマと呼ばれる水溶性食物繊維に富む外皮のみを使ったオートブラン。

加入水或牛奶泡軟,加入果乾與堅果等的麥片混合物(ミューズリー)。

水やミルクを加えてふやかし、果実やナッツ類を入れたミューズリー。

加入砂糖或蜂蜜、拌上植物油後入烤箱烘烤的則稱為格蘭諾拉(グラノーラ)。

砂糖や蜂蜜を加え植物油を絡めてオーブンで焼いたものをグラノーラと呼ぶ。

為何燕麥片作為嬰兒副食品具有高成本效益,理由其實很簡單。

何故オートミールが離乳食として高いコストパフォーマンスを持つかは実に簡単だ。

首先,燕麥栽培不費太多工夫。

まずえん麦は栽培の手間がかからない。

即便粗放栽培也能憑藉旺盛的生命力自行成長。當然在適合的環境下生長速度會更快,但與某些作物不同,不必過於細緻照料。

適当な栽培でも旺盛な生命力で勝手に成長していく。無論、適切な環境なら成長速度が更に早い事は言うまでもないが、作物と違って細かく拘る必要がない。

再者,與玄米相比,燕麥片的膳食纖維約為3.5倍、鐵質為2倍、鈣含量甚至高達5倍。維生素、礦物質與蛋白質也很豐富,營養均衡非常好。

次にオートミールは玄米と比べて食物繊維が約3.5倍、鉄分は二倍、カルシウムに至っては五倍も豊富な食品だ。ビタミンやミネラル、たんぱく質も豊富で栄養バランスが非常に良い。

由於低GI值,因此在同樣的碳水化合物量下不易轉成脂肪,胰島素指數也低,有助提升基礎代謝。

低GI値なので炭水化物の割に脂肪になりにくく、インスリン値が低いので基礎代謝がアップする。

是乾燥食品,適當保存可保存近一年。常用於雜炊或粥狀料理,磨碎後也可作為嬰兒副食品。

乾燥食品なので適切な保存をすれば一年近く保つ。雑炊やおじやのようにして食べる事が多い為、すり潰せば離乳食としても使える。

優點多得不得了的燕麥片,並非沒有缺點。

良い事だらけのオートミールだが、問題がないわけではない。

首先原本的狀態硬得幾乎無法食用;其次麥子的氣味濃烈,可能有人會生理性地無法接受;而最重要的是,僅用水煮味道很差。

まずそのままの状態では、とても食べる事が出来ないほど硬い。次に麦の臭いが強く、人によっては生理的に受け付けない場合がある。そして何よりも、水で煮ただけではまずいという点だ。

若能克服這些問題,燕麥片將成為非常優秀的食品。

その点をクリア出来ればオートミールは非常に優秀な食品になる。

(我覺得比起變甜,更像粥或燉飯風會比較好……用味噌煮之類的可以嗎……?)

(甘くするより、おじややリゾット風が良いと思うんだよね……味噌で煮るとかありか……?)

「失禮了。靜子大人,館裡來了傳令。是緊急的召集。」

「失礼します。静子様、お館様より伝令が参りました。緊急の呼び出しでございます」

「……又是甚麼召集……?」

「……また何の呼び出し……?」

「只知道說要立刻來。抱歉,請趕快前往。馬廻衆與兵士已經安排好了。」

「すぐに来るように、との事しか承っておりません。申し訳ありませんが、お急ぎ下さい。馬廻衆や兵に関しては既に手配しております」

(真有那麼急的事嗎?)

(そこまでして急ぎの用件はあったかな?)

無論如何,既然被召喚了就不能不應召。

ともあれ呼び出しされたのなら応じない訳にはいかない。

「真可惜。也沒辦法,就讓廚子們做些白菜之類的菜吧。」

「残念じゃ。仕方ない、料理人どもにははくさいとやらの料理でも作らせるかのぅ」

「非常抱歉。這筆補償日後再說……」

「申し訳ありません。この埋め合わせは後日……」

靜子向濃姬道歉後,整理好就立即前往信長處。

静子は濃姫に謝罪した後、準備を整えてすぐに信長の元に向かう。

這時,靜子沒有注意到沿路濃姬的隨侍廚師們在遠處觀望著。

この時、静子は道中で濃姫のお抱え料理人たちが、遠巻きに見ていた事に気付いていなかった。

要是她發現了,恐怕沒辦法以正常的精神前去見信長。

もしも気付いていたら、彼女はまともな精神で信長の元へ行けなかっただろう。

註定會擦身而過的靜子沒有注意到那件事,抵達了信長處。

すれ違う運命になってしまった静子は、その事に気付かず信長の元へ到着する。

在抵達前就能看見日落的景象,她模糊地預想今晚或許會在誰家借宿。

到着直前から日が沈む様子が窺えたので、今夜は誰かの家に寝泊まりになるかなと漠然と予想していた。

不過那不過是她的樂觀預期而已。

しかしそれは彼女の希望的観測に過ぎなかった。

那天,被信長召集的人們雖中途數次休息,仍然喧鬧且激烈地討論道路整備,直到天亮。

その日、信長に呼ばれた一同は途中何度かの休憩をはさみつつも、朝まで街道整備について喧々囂々と熱く議論を交わすこととなった。

某個十二月的日子,信長與主要的家臣團聚集在靜子的技術街。

十二月のある日、静子の技術街に信長と主要な家臣団が集合していた。

今天在此街舉辦由此地生產的磁器的跳蚤市場(のみのいち)。因為磁器的原料仰賴他國,織田領內無法公開買賣磁器。

今日はこの街で生産された磁器を販売する蚤の市(のみのいち)が催される。磁器の材料を他国に依存している為、織田領内ではおおっぴらに磁器の売買が出来ない。

但商人們利用這點,偽造產地高價賣給外國人。

しかし商人たちはそれを利用し、出元を偽って他国の人間に高く売っている。

之所以能弄出這種把戲,是因為日本直到江戶時代才開始生產磁器,在此之前都仰賴中國製的陶磁器。

この様な真似が出来るのは、日本で磁器の生産が行われたのは江戸時代に入ってからであり、それまでは中国が作る陶磁器頼りだったからだ。

也就是說,光是標為磁器,不論設計是否合乎喜好,都會被視為有價值。不僅如此,磁器還能以高價賣給南蠻人。

つまり磁器というだけで、例えデザインが好みでなくとも値打ちものになるのだ。それだけではない。磁器は南蛮人にも高く売りつける事が出来る。

歐洲貴族本來就稱中國磁器為「白色的黃金」,並為之狂熱推崇。

元々、欧州貴族は中国の磁器を「白い黄金」と呼び、熱狂的に支持していた。

被譽為歐洲磁器最高峰的德國邁森產品,在世界上備受推崇。但邁森的起點也是源於「想做出像日本或中國那樣的磁器」的嚮往。

ヨーロッパ磁器の最高峰と賞賛されるドイツのマイセン製品は、世界中で高く評価されている。だがマイセンも元は「日本や中国のような磁器を作りたい」という憧れが磁器生産の始まりだ。

德國薩克森選帝侯、兼任神聖羅馬帝國波蘭王的腓特烈·奧古斯特二世熱愛東洋磁器。

ドイツのザクセン選帝侯で、神聖ローマ帝国ポーランド王を兼ねたフリードリッヒ・アウグスト二世は熱烈に東洋磁器を愛した。

他甚至在德累斯頓的茲溫格宮建造了一座名為「日本宮」的建築,用來收藏日本磁器。

ついにはドレスデンのツヴィンガー城に、「日本宮」という収集した日本の磁器を保管する建物を建てた。

不僅如此,他還將其作為國家優先事業,著手在本國生產類似東洋磁器的計畫。

それだけに留まらず、国家の最優先事業として、東洋の磁器のようなものを自国で生産する事業に乗り出した。

在靜子的技術街生產的磁器,主要使用三種顏色。

静子の技術街で生産される磁器は、主に三つの色が使われている。

分別是用銅鏽作出的紅色、用鐵鏽作出的黑色,還有用呉須(ごす)呈現的藍色。

銅のサビを使った赤色、鉄のサビを使った黒色、そして呉須(ごす)を使った青色だ。

以這三色製成的磁器有著深邃的色澤,足以讓信長一見鍾情。

この三色を使って作られる磁器は深みのある色合いをしており、信長を一目惚れさせたほどだ。

尤其他偏愛以難以顯色的紅色為主的「赤繪」。

特に彼は発色が難しい赤色を主とする「赤絵」を好んだ。

「哦!這次不少啊。」

「ほぅ! 今回は随分とあるな」

信長心情大好,欣賞著眼前的赤繪磁器。

信長が上機嫌で手前にある赤絵の磁器を愛でる。

正如他所言,擺了各式各樣的磁器,從前衛設計的器皿到比起用來吃飯更適合當作展示的器物皆有。

彼の言うとおり、磁器は様々な種類が並べられていた。前衛的なデザインの器から、食事に使うというより飾るタイプの磁器まであった。

花紋也多樣得讓人覺得沒兩件是一樣的,工藝極為講究。

柄も様々で同じものは一つとしてないのでは、と思えるほど意匠が凝らされていた。

即便稱為赤繪磁器,也比不上史實上最早成功的酒井田柿右衛門的赤繪那般鮮豔。

赤絵磁器と言っても、史実で最初に成功した酒井田柿右衛門の赤絵磁器ほど鮮やかではない。

靜子的技術街只使用單一的紅色,而柿右衛門風格則使用三種紅:明亮的「花赤」、表現柿子色的深邃「濃赤」、以及用於描線的帶黑色調的「カバ」。

静子の技術街は一色の赤しか使用していないが、柿右衛門様式は明るい「花赤」、柿の色を表す深みのある「濃赤」、線を描くための黒ずんだ「カバ」と三種類の赤を使用している。

產生那三種紅色的調配方法記載在酒井田家傳承的「赤繪具覺」中,但內容是只有繼承柿右衛門之名的人才能知道的秘中之秘。

その三種類の赤を生み出す調合方法は、酒井田家に伝わる「赤絵具覚」に記載されているが、内容は柿右衛門の名を継承した者のみが知る事の出来る秘伝中の秘伝だ。

在特別公開的部分中,寫著材料之一為「去除鹽分的氧化鐵」。

特別に公開された一部には、「塩分を抜いた酸化鉄」を使用する、と材料の一つが書かれていた。

字面上是將氧化鐵浸入水中去除鹽分。這個作業需要非常長的時間,據說至少要花十年。

文字通り酸化鉄を水に浸けて塩分を抜くのだ。この作業は非常に長い時間を必要とし、最低でも十年はかかると言われている。

雖然不是柿右衛門的方法,但靜子知道一種製造赤繪用紅色的別法。

柿右衛門様式ではなく別方法だが、赤絵磁器用の赤色を作る手段を静子は知っている。

但這方法也至少需要五年才能備齊材料。在完成之前,只能暫以銅鏽做成的紅色代用。

しかしこちらも材料を揃えるのに最低でも五年はかかる。それが完成するまで、暫くは銅のサビを使った赤色で代用する以外にない。

「這次大約有四百件。各位若能找到喜歡的磁器便爲幸,現在開始販售磁器。」

「今回はおよそ四百枚あります。各自、好みの磁器を見つけて頂けると幸いです。では磁器の販売を開催します」

隨著那句話,瓷器跳蚤市場開始舉行。

その言葉と共に磁器蚤の市が開催された。

所謂瓷器跳蚤市場,與普通跳蚤市場有幾處不同。

磁器蚤の市と言っても、普通の蚤の市と違う所がいくつかある。

首先交易涉及的金額不是同一個量級。即便量產,瓷器仍屬高級品。

まず売買で動く金の額がケタ違いだ。いくら量産されているとはいえ、磁器はまだまだ高級品の部類に入る。

若喜歡作品,可名為「先行投資」直接給工匠金錢。

また作品を気に入れば『先行投資』という名目で、職人に直接金を渡す事が出来る。

由工匠自行販售可省去中間利潤,且工匠們能直接得知自己的評價。當然,也有固執到不肯收下這種款項的工匠。

職人自らが販売する事で中間マージンを無くし、また職人たちは自分たちの評価を直に知る事が出来る。もっとも、これを受け取らない頑固さを持つ職人もいるが。

(嗯,順利嗎?)

(うん、うまく行っているかな?)

靜子觀察著跳蚤市場的情況。森可成拿著一只大盤子反覆點頭,看來他偏好以青色繪畫的大盤。

静子は蚤の市の様子を観察する。森可成が大皿を手にとって何度も頷いていた。どうやら彼は、青色で絵付けされた大皿が好みのようだ。

秀吉喜歡鍍金處理的盤子,竹中兄弟挑選看似日常可用的餐具,丹羽似乎比起盤子更偏好壺。各自尋得符合喜好的瓷器並購買。

秀吉は金メッキ処理された皿、竹中兄弟は普段に使えそうなタイプの食器、丹羽は皿よりも壺がお好みのようだ。それぞれが好みにあった磁器を探して購入していた。

此外,柴田和佐佐似乎偏愛極具前衛設計的盤子。像佐佐那樣,看到明顯已失去餐具意義的盤子也欣喜若狂。

なお、柴田と佐々は非常に前衛的なデザインの皿がお好みのようだ。佐々など、どう見ても食器としての意味を失った皿を見て歓喜していた。

「哦啊,大家真是高興……我也買點什麼嗎?」

「おおう、皆凄い喜びよう……私も何か買うかな?」

但靜子不像信長那般將瓷器視為高級品,看不出超過餐具的價值,因而缺乏購買欲。

しかし静子は信長ほど磁器を高級品と思ってないので、食器以上の価値を見出せず食指が動かない。

途中被工匠與家臣們招呼,靜子享受著逛覽櫥窗的樂趣。

途中職人や家臣たちに声をかけられながら、静子はウィンドウショッピングを楽しむ。

「喔,這個合適給慶次先生嗎……這個給才藏先生。這邊的是勝藏君吧。這漂亮的帶回去買給彩醬。嗯,也送本多大人幾只盤子如何。」

「お、これは慶次さん向けかな……これは才蔵さん。こっちは勝蔵君かな。この綺麗なのは彩ちゃんに買って帰ろう。うーん、本多様にも何皿か贈るかな」

最後,她買的多半是慶次他們的伴手禮,而不是為自己。

結局、彼女は自分の為というより慶次たちのお土産を買うに留めた。

畢竟他們既無法作為參加者,也無法作為靜子的護衛參加。雖可憐,但人選是信長決定的,只能讓他們接受。

何しろ彼らは参加者としても、また静子の警護としても参加出来なかった。可哀想だが人選は信長が行ったのだから諦めて貰う他ない。

「這位是靜子殿,妳也在挑瓷器嗎?」

「これは静子殿、貴女も磁器選びですかな?」

靜子回頭回應聲音,見到滿臉笑意的柴田與佐佐。

声に反応して振り返ると満面の笑みを浮かべた柴田と佐々がいた。

靜子略感退縮,但兩人毫不掩飾好心情,繼續說話。

ちょっとだけ引いた静子だが、彼らは上機嫌を隠そうともせず言葉を続ける。

「能被邀請到這種場合,實在感激不盡」

「この様な席に招いて頂き感謝に堪えませぬ」

「正是。能以此胸襟邀請我們這些不怎麼喜歡妳的人,某(我)自愧自己心胸狹窄。」

「左様。そなたを快く思っておらぬ我らも招くその度量に、某(それがし)の狭量さを恥じ入るばかりよ」

「啊,不……決定受邀者的是殿下……只是」

「あ、いえ……招待者を決めたのはお館様なのです……が」

慌忙否認,然而在興高采烈的兩人面前,靜子的話語無法傳達。

慌てて否定するも舞い上がっている彼らに静子の声は届かない。

「喔,打擾了,告辭了我們就先行一步。」

「おっと、呼び止めて申し訳ない。それでは我らはこれにて」

「若有困難,隨時願助一臂之力。失陪了。」

「何か困った事があれば、何時でもお力添えしますぞ。失礼仕る」

兩人你一言我一語地誇讚靜子後,興高采烈地離開了。

口々に静子を褒めそやすと、二人は上機嫌で去っていった。

留下的靜子只能呆然地送別他們。

残された静子は、ただ呆然と二人を見送る事しか出来なかった。

瓷器跳蚤市場圓滿成功落幕。

磁器蚤の市は大成功の内に終わった。

將各種善後交給他人處理後先行回家的靜子,把買來的瓷器一一分送。

色々な後始末を他人に任せて先に帰宅した静子は、買ってきた磁器をそれぞれ渡す。

給慶次幾種酒杯,長可一只大碗,才藏茶杯,彩幾張色彩繽紛的小盤。

慶次には何種類かの酒盃、長可にはどんぶり茶碗、才蔵には湯のみ、彩には彩り華やかな小皿を何枚か渡す。

靜子把為忠勝準備的平皿寫了幾句話,委託一併寄出。

忠勝用に用意した平皿を、静子は一筆を添えて一緒に発送依頼する。

大家都喜歡靜子送的瓷器。慶次拿到酒杯後,甚至一手端酒就去邀才藏和長可入浴。

皆、静子がプレゼントした磁器に喜ぶ。慶次など酒盃を受け取るや否や、酒を片手に才蔵と長可を風呂へ誘ったぐらいだ。

瓷器跳蚤市場結束後一片平靜,但她能安下心來的時間不多。

磁器蚤の市が終わった後は平穏だった。だが彼女が落ち着く時間は少ない。

直到年末前幾乎沒有農事的靜子,便用閒暇做各種料理。

年末近くまで農作業がほぼない静子は、暇を使って色々な料理を作っていた。

這是因為從信長那裡收到「有沒有能稱得上是岐阜特產的料理?」的詢問。

これは信長から『これぞ岐阜! という特産料理を思いつかないか?』という話を貰ったからだ。

這不是正式命令,倒比較像是在問有沒有什麼好點子的提問。

正式な命令ではなく、どちらかと言えば単に何か良いものがないかという質問に近い。

雖然試做了各種料理,但沒有讓信長滿意的。

色々と作ってみたが信長が気に入るものはなかった。

從大豆製作的豆腐與油揚,油揚做的稻荷壽司,魷魚飯、唐揚炸物,以及海老天丼或親子丼等蓋飯。

大豆から豆腐や油揚げ、油揚げから稲荷寿司、イカ飯、唐揚げという単品から、海老天丼や親子丼などのどんぶり物。

還準備了用小型土鍋做的切團子鍋、水炊鍋、牡丹鍋等。也想過鰻魚,但鰻魚料理不易,而且已有以宇治川所捕鰻魚做的姿壽司頗有名,故排除。

更には小型の土鍋を使ったきりたんぽ鍋や水炊き、ぼたん鍋などを用意した。鰻も考えたが、鰻は調理が難しい上に、既に宇治川で取れる鰻で作る姿鮨(すがたずし)が評判なので除外した。

雖然試吃的慶次與長可等人評價不錯,但在信長眼中仍無法產生「非這個不可」的感覺。

試食係の慶次や長可たちには評判だったが、信長から見れば「どうしてもこれが良い」という気持ちにならなかった。

唯一,信長對甲魚鍋感到有興趣。

唯一、スッポン鍋に信長は興味を持った。

靜子想到一想,覺得甲魚可以成為名產,然而現在要收集甲魚時節並不合適。

少し考えてスッポンなら名産品になると考えた静子だが、スッポンを集めるには時期が悪かった。

甲魚在水溫低時會冬眠,因此冬季採集甲魚相當困難。

スッポンは水温が低いと冬眠してしまうので、冬の時期にスッポンを集めるのは厳しい。

要開始養殖,必須等到天氣轉暖以及產卵期的六月到來。

養殖を始めるには、暖かくなるのと産卵時期である六月まで待つ必要があった。

(在這裡畫線……套入數式後需要這麼長的距離……嗯,這樣養殖場的面積就算確保了。接下來就等時節到來再放著不管吧)

(ここに線を引いて……数式に当てはめるとこれだけの距離が必要だから……うん、これで養殖場としての広さは確保した。後は、時期が来るまで放置かな)

作為甲魚養殖的起點,這個面積已經足夠。

スッポン養殖の始まりとしては十分な広さだ。

前去確認設計圖的印象與實際面積是否一致時,雖覺得有些侷促,但認為還在可接受範圍內。

設計図のイメージと現実の広さが一致しているか確認しに行った所、多少窮屈に感じたが問題ないレベルだと感じた。

再過不久就沒有多餘空間能增建設施,但目前還沒有需要新設施的案子。

そろそろ施設を追加する広さがなくなったが、今のところ施設が必要になる案件はない。

將甲魚養殖的計畫書整理後提交給信長。信長似乎沒料到甲魚可以養殖,便用緊急聯絡網把靜子叫了來。

スッポンの養殖について計画書を纏め、信長に提出する。信長はスッポンが養殖出来るものとは思っていなかったようで、緊急連絡網を使って静子を呼び出した。

「只要解決水溫、互相殘食與吵鬧的問題,養甲魚並不那麼困難。話雖如此,我也是第一次嘗試,能否達到館主殿下的期望、是否能成功養殖甲魚,目前還無法明確說明。」

「水温と共食い、騒々しさの問題を解決すれば、スッポンはそこまで難しくありません。とはいっても私も初めての試み。お館様のご希望に応えられるほど、スッポンの養殖が可能かは現時点でははっきり申し上げられません」

「嗯……對於挑戰困難的態度給予肯定。若有成果更好。」

「ふむ……難しい事に挑戦する姿勢は評価する。結果が伴えばなおよし」

說完這話信長便叫來一名小姓。立刻有一名小姓抱著木箱走到他們面前。

そう言うと信長は小姓を呼ぶ。すぐに一人の小姓が木箱を抱えて彼らの前にやってきた。

恭敬地放下木箱後,小姓行了一禮便退到後方。

恭しく木箱を置いた後、一礼をして小姓は後ろに下がる。

「此次先把資金先行給你吧」

「此度(こたび)は先に費用を渡しておこう」

「欸、欸!」

「え、えぇ!」

木箱內是金子(きんす)。裡面裝有可稱得上是大筆的金額。

木箱の中は金子(きんす)だった。大金と言っても差し支えない程の額が入っていた。

對於信長這種前所未有的舉動,靜子無法掩飾她的困惑。

今までにない信長の行動に静子は困惑を隠せない。

「你反應真慢。我也是因為喜歡甲魚鍋才會這樣出資。也就是說,我對你的成功抱有很大的期待。」

「察しが悪いな。わしもスッポン鍋が気に入ったから、こうして資金を出すのだ。つまり、それほど貴様の成功に期待を寄せているのだ」

「是、是……我會努力不辜負、達成您的期待。」

「は、はい……ご、ご期待に沿えるよう頑張ります」

「嗯,我再說一遍,我很期待。」

「うむ、何度も言うが期待しておるぞ」

信長帶著一絲意味深長的笑容這樣說道。

少しだけ含みのある笑みを浮かべて信長はそう言った。

忙碌得幾乎令人眼花;年末將至的信長行動力十足,這樣的話也常掛在嘴邊。

目が回るほど忙しい。そんな言葉が口の端に上るほどに年の瀬を迎える信長は精力的に動いていた。

在那些成果之中,最重要的是建立了不經義昭、直接與朝廷連結的管道。

その成果の中でも義昭を通さず、直接朝廷と繋がるルートを確保したのが一番大きい。

當然那是非正式的來往,官方上仍必須透過作為將軍的義昭來行事。

勿論非公式ルートでのやり取りで、公式には将軍である義昭を通さなくてはならない。

打個比方就像公司,征夷大將軍義昭是統括本部長,信長則是隸屬本部的一位部長。

会社で例えるなら、征夷大将軍である義昭は統括本部長、信長は統括本部配下の一部長という立ち位置になる。

員工跳過直屬上司直接與首腦部門朝廷交涉幾乎不可能,若放任這種情形組織會瓦解。

社員が直属の上司をすっ飛ばして、首脳部である朝廷に直接やり取りなどまずない。それを許せば組織が崩壊する。

即使被義昭發現會處於不利,仍那般追求與朝廷的連結自有其理由。

義昭に知られれば不利な立場になるのに、そこまでして朝廷との繋がりを求めたのは理由がある。

其中一個目的是要把寺社勢力從朝廷中驅逐出去。自從偏向朝廷的平家滅亡後,朝廷便處於被周圍勢力扶持的狀態。

一つは朝廷から寺社勢力を追い出す事だ。朝廷寄りである平家が滅んで以降、朝廷は周りからおんぶに抱っこ状態である。

在朝廷之中影響力最大的是寺社勢力,但要取得對朝廷的影響力,必須有正當理由。

その朝廷の中でもっとも影響力を持つのが寺社勢力だ。しかし朝廷への影響力を手に入れるには、正当な理由がなくてはならない。

因此利用了靜子的姓氏──綾小路。綾小路家自綾小路俊量之後便中斷了。

そこで利用したのが静子の苗字である綾小路だ。綾小路家は綾小路俊量以降途絶している。

直到五辻家讓綾小路高有於1613年入嗣之前,家名都未曾復興,這正是個再合適不過的理由。

五辻家から綾小路高有が1613年に入るまで家名再興はない。まさにうってつけの理由だった。

信長向朝廷獻金,並贈送尾張米、瓷器、紙張等日用雜貨。

信長は朝廷に対して献金、そして尾張米や磁器、紙などの日用雑貨類を贈る。

預料到朝廷會對突如其來的贈禮感到驚訝,信長附上一封說明緣由的書信。

突然の贈り物に朝廷は驚くのを見越して、信長は理由を書いた手紙を一通添えた。

信中寫道綾小路俊量曾有一名私生子,該子非男兒而被從家譜中抹去,儘管如此仍將所得利得獻上朝廷,並為因病無法親自訪問致歉。

綾小路俊量には隠し子が一人いた事、その子は男ではなく女であった為に家歴から抹消された事、それでも得た利益を朝廷に献上する事、病に伏せている為に直接ご挨拶に伺えない事を謝罪する事。

信中摻雜虛實,措辭誇張以撼動閱者心弦。

手紙には虚実を織り交ぜながらも、読む者の心を震わせるよう大げさに書かれていた。

若靜子本人知道這些內容會捧腹大笑,然而帝——正親町天皇卻全然信以為真。

静子本人が知ったら腹を抱えて笑う内容を、帝である正親町天皇(おおぎまちてんのう)は全て信じた。

朝廷財政困窘、權威衰落,幾乎被多數公家與武家拋棄,願意獻上支援的僅有毛利元就、本願寺法主顕如,以及上洛的信長。

朝廷の財政は逼迫し、権威も地に落ちかけ、殆どの公家や武家からは見放され、献上金など支援をする人物は毛利元就、本願寺法主の顕如、上洛してきた信長だけであった。

儘管朝廷的財政與權威因此回復,帝明白他們並非為了幫助處於困境的朝廷而獻金,而是為了利用朝廷的權威。

困窮した朝廷の財政と権威が回復したものの、帝は彼らが苦境にある自分たちを助ける為ではなく朝廷の権威を利用する為に献金をしている事を理解していた。

就這層意義而言,帝比義昭更深刻、甚至痛苦地理解自己的立場與現實。

そういう意味では帝は義昭より自分の立場、そして現実を嫌というほど理解していた。

正因如此,綾小路家的無欲獻上才深深打動了帝的心。

だからこそ綾小路家の欲のない献上に心を絆(ほだ)されたのだ。

帝會無條件相信這些,很大程度上是因為信長過去一直以來的奉呈之行。

帝がこれを無条件で信じたのは、信長が奉呈してきた事に拠るところが大きい。

如果我是信長,便不會特地用綾小路家的名義來贈送。就算用我自己的名義送禮,病臥的綾小路家的私生子也不會察覺。

もしも自分が信長ならわざわざ綾小路家の名を使って贈らない。自分の名で贈っても、病に伏せている綾小路家の隠し子に知られる事はないからだ。

從傳聞的內容來看,帝心中想像的信長形象是個與無償行為背道而馳、算計深重之人,絕不是會做出這種事的人。

噂の内容から帝が想像した信長像は、無償の行為とは対極にいる打算的な人物だ。決してこの様な事をする人物ではない。

因為綾小路家的私生子連名字都沒有,帝為此心痛,便從自己的諱中選用了「仁(意指對他人的親愛)」之字,賜名為「仁比売(ニヒメ)」。

綾小路家の隠し子が名前すら無い事に帝は心を痛め、自分の諱から『仁(他人に対する親愛の情という意味)』の文字を使った『仁比売(ニヒメ)』という名を与えた。

同時向信長下勅命,命其讓「仁比売(ニヒメ)」接受療養,最後更破例賜予她「從四位上」的位階作為褒賞。

また信長へ『仁比売(ニヒメ)を療養させるように』との勅命を出す。最後に『仁比売(ニヒメ)』へ『従四位上』の位階を授けるという異例の褒美を与えた。

可以看出,這一評價高於同樣獻上獻金的毛利元就所受的「從五位下」。

同じく献上金をした毛利元就の『従五位下』より高く評価している事が窺える。

其原因在於,即便是同樣的贈禮,「仁比売(ニヒメ)」與他人之間有著巨大的差異,這影響了評價的高低。

それは同じ贈り物でも、仁比売(ニヒメ)と他で大きな違いがあるのが影響している。

其他人露骨地抱持著「只要把金錢和物品交給朝廷就行了」的想法;相對地,送給「仁比売(ニヒメ)」的禮物是為對方著想而精心挑選的。

他の人間は『朝廷など金とものを渡していれば良い』という露骨な考えが見える。対して仁比売(ニヒメ)の贈り物は、相手の為を想って選ばれた贈り物だ。

帝自己也明白那聽起來多少有些矯情。

甘い事を言っているのは帝自身理解している。

然而他被許多公家與皇家所拋棄,曾經擁有的眾多荘園的支配權喪失,在武家眼中朝廷也只剩下可供利用的對象。

しかし多くの公家や皇家から見捨てられ、数多くあった荘園の支配権は失われ、武家においては自分たちを利用する事ばかりしか頭にない。

帝對於寺社勢力即便在亂世也為保護自身權益而成為犯罪的武裝集團的現狀感到嘆息,因此對那份溫暖人心的贈禮不禁落淚。

寺社勢力は例え乱世であろうと、自分たちの権益を守るために犯罪を犯す武装集団となっている現状に嘆く帝は、心暖まる贈り物に涙せずにはいられなかった。

「……朝廷對『仁比売(ニヒメ)』頗為傾心呢」

「……朝廷は良い感じに仁比売(ニヒメ)へ傾倒しておるな」

讀完自帝那裡寄來的所有書狀後,信長吐了口氣,脫口說道。

帝から届いた書状を全部読み終えた信長は、一息吐いた後に感想を漏らした。

對他而言,朝廷只是可供利用的存在,但他認為朝廷的政治力不可小覷。

彼にとって朝廷は利用するだけのもの。しかし朝廷の政治力は侮る無かれ、と考えている。

因此他認為有朝廷這層人脈作為保險是必要的。

故に保険として朝廷とのコネクションを持つ必要があると思っていた。

「殿忽然說要寫信,我還以為發生了什麼事。話說回來,您真做得挺費心的呢」

「殿がいきなり文を書け、と仰られるから何事かと思いました。それにしても、随分と手の込んだ事を為されますな」

濃姫輕輕一笑。此刻房中沒有侍女或小姓,只有兩人獨處。

傍にいる濃姫がくすりと笑う。今、部屋にいるのは世話係や小姓はおらず、二人だけだ。

「這並不奇怪。合戰的勝負在於到那一步之前做了多少準備。天下統一亦是如此。在奪得天下之前,為統一後所做的準備有多少,決定了之後的平定是數年內結束,還是能延續千年。」

「不思議ではなかろう。合戦はそれに至るまでに、どれだけ準備を整えているかが勝負になる。天下統一も同じだ。天下を取るまでにどれだけ天下統一後の準備を整えているかで、その後の平定が数年で終わるか、それとも千年続くかが決まる」

「為此,竟特意造出所謂綾小路家的復興這個名分嗎?」

「その為に、わざわざ綾小路家の再興、という名分を作ったのでございますか?」

「沒錯」

「そうだ」

「呵呵,殿上洛時帶著靜子去,我原以為會把靜子用於綾小路家的復興……沒想到竟然施以如此迂迴的手段。正因如此,殿才有趣味」

「ほほっ、殿が上洛で静子を連れて行った時、妾はてっきり静子を綾小路家の再興に使うと思いましたが……まさかこういう搦め手を講じられるとは。これだから殿は面白うございます」

「沒什麼好奇怪的。掌握權力後影響力固然會擴大,但同時行動的自由也會變得難以為繼。靜子對目前自由的環境感到滿足,若由我去奪走那自由,反而會對她對我抱持的『忠義』做出不義之事。」

「何も不思議ではあるまい。権力を手に入れれば影響力は増そう。だが同時に自由に振る舞う事が難しくなる。静子は今の自由な環境に満足しておる。ならばわしがそれを奪うのは、奴のわしに対する『忠義』に対して不義理を働く事になる」

戰國時代與江戶時代不同,家臣不是對個人效忠,而是對家族發誓忠誠。

戦国時代は江戸時代と違い、家臣は個人に対しての忠誠はなく、家に対して忠誠を誓う。

以武田家為例,當年放逐信虎的家臣團從當時的價值觀來看,未必能一概斷定為不忠者。

武田家の例を挙げると、武田信玄の父である信虎を放逐した家臣団の行動は当時の価値観から見ると一概に不忠者とは言えない。

他們所誓忠的對象是「武田家」,而非信虎個人。反觀信虎不顧家臣,向領民與國人眾徵以厚稅,行事以感情優先於道義,缺乏作為統治者的適性。

彼らが忠義を誓う対象はあくまで「武田家」であり、信虎個人ではない。一方信虎は家臣を顧みず、領民や国人衆に重い税を課し、道義よりも感情を優先するなど統治者としての適性を欠いていた。

可以說他們在看清愚昧的信虎後,擁立已嶄露頭角的晴信(信玄),認為此舉對武田家的未來更有利,於是選擇背叛。

暗愚な信虎を見限り、頭角を現していた晴信(信玄)を担ぎ上げる方が武田家の将来は明るいと断じて裏切ったのだとも言える。

正因如此,對信長而言,像靜子這樣效忠於織田信長個人而非織田家的人,實際上是非常珍貴的人才。

だからこそ、信長にとって織田家ではなく織田信長という個人に忠誠を誓う静子は、実は非常に貴重な人材なのだ。

此外,以「家」為中心效忠的家臣與以「主君個人」效忠的家臣容易形成派系並引發爭端,但靜子能使衣食住行都保持舒適,因此這種情況也較不容易發生。

更に「家」に対する忠誠を誓う家臣と、「主君個人」に忠誠を誓う家臣は、互いに派閥を作り諍いを起こしやすいが、静子は衣食住関係を快適にしているため、これも起きにくい。

「靜子對殿盡忠呢。對了,那些說要我暫代保管的書,我閒來無事便讀了。」

「静子は殿に忠義を尽くしておりますからね。そうそう、預かっていろと言われた書物ですが、暇だったので読んでみました」

「……因為我周圍有間諜徘徊,所以才藏在你那裡的吧?」

「……わしの周りに間者が彷徨いておったから、貴様の所に隠したのだが?」

「喔,是這樣啊。但內容頗為刺激。有『武経七書』、君主論、戰略論、戰爭論、地政學、政治學、組織構築法等,範疇廣泛,明白得幾乎不用煩惱。出處是靜子吧?」

「おや、そうでしたか。しかし中々に刺激的な内容ばかりでしたね。武経七書、君主論、戦略論、戦争論、地政学、政治学、組織の作り方などなど多岐に渡っておりました。悩む必要がないほど分かりやすい。出処は静子ですよね?」

信長啧了一聲。

信長は舌打ちする。

濃姫的私室作為藏匿處雖然優秀,但他忘了她可能會去閱讀那些書。

濃姫の私室は隠し場所として優秀ではあるが、本人が読む可能性があった事を失念していた。

擅長洞察人心的濃姫不但識字,見識也很廣,因此能輕易讀懂靜子的書籍。

相手の心理を鋭く見抜く濃姫は、文字の読み書きは勿論、幅広い見識を持っている。故に静子の書物も難なく読めた。

信長為沒考慮到那點而感到惱怒,但既然事情已經發生,也只能嘆了口氣。

そこを考慮出来なかった自分に苛立ったが、起きてしまったものは仕方ないと思い、信長はため息をつく。

「妾喜歡〈君主論〉。殿對〈君主論〉有何看法?」

「妾は君主論が良かったです。殿は君主論について、どうお考えで?」

「……因為對他國背景說明不詳,有些內容難以理解。但撇開那些不談,他斬斷甜膩的理想,貫徹徹底的現實主義,這點是值得肯定的。」

「……他国の背景が詳細に分からぬ故、いくつか内容が理解出来ぬ所はある。だがそれを差し置いても、甘ったるい理想を斬り捨て、徹底した現実主義を貫く事は評価出来る」

「那麼……啊,不行啊。再談殿的私藏書籍可不行。不過妾想與殿多談一番。」

「では……ああ、いけませんね。これ以上、殿秘蔵の書物を口にするのは。ですが妾は殿と語り合いとうございます」

「……還是一如既往,喜歡玩文字遊戲的傢伙。倒也不是不喜歡。」

「……相変わらず言葉遊びが好きな奴だ。だが嫌いではないぞ」

信長理解了濃姫話裡的含意,口角帶著笑意,吐出一口氣。

濃姫の言葉に含まれる意味を理解した信長は、口元に笑みを浮かべながら息を吐いた。