最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い~帝位に興味ないですが、死ぬのは嫌なので弟を皇帝にしようと思います~
第三百話 五名
「迎擊的西部駐屯軍第七師團幾乎全滅!巨型魔物依舊向我們的城市侵攻!」
「迎撃に当たった西部駐屯軍第七師団はほぼ全滅! 巨大モンスターは変わらず我が街に侵攻中!」
「可惡……」
「くっ……」
卡雷利亞是皇國西部最大的都市,其領主溫格洛夫在那絕望的報告面前只能低聲呻吟。
皇国西部最大の都市であるカレリアの領主、ヴェンゲロフは絶望的な報告に呻くほかなかった。
他白髮長鬚,年過六十。身為掌管皇國西部最大城市的領主,溫格洛夫也是多次與帝國交戰的武人。然而,他從未遇過會讓迎擊部隊瞬間全滅的魔物。
長い白髪に白い髭。すでに齢六十を超えたヴェンゲロフは皇国西部最大の都市を預かる領主として、帝国と幾度も戦った武人でもあった。そんなヴェンゲロフだったが、迎撃に当たった軍がすぐに全滅するようなモンスターとは出会ったことがなかった。
「冒險者公會的看法是?」
「冒険者ギルドの見解は?」
「據說特徵接近『綠植虎』,但從未有記錄出現過這麼巨大的個體……可能是突變種。」
「特徴としては〝緑植虎〟に近いそうですが、ここまで大きいモノは記録に残っていないそうです……突然変異種かと」
「荒謬至極……大國境內竟突然出現巨型魔物……難道說只要是突變就能自圓其說嗎!?」
「ふざけた話だ……大国の国内に突然、巨大モンスターが現れる……突然変異ならば何でもありだというのか!?」
溫格洛夫將手中的劍重重摔向地面。
ヴェンゲロフは持っていた剣を地面に叩きつける。
那把劍曾是多年並肩作戰的夥伴,但他知道如今不過和一根木棍無異。
長年、共に戦ってきた相棒だが、今は棒きれと大差はないとわかっていたからだ。
「……『綠植虎』的特徵是?」
「……緑植虎の特徴は?」
「外形像虎,但屬植物型魔物,具有強大的再生力並能產生自身的分身。據冒險者公會所言,出現的『綠植虎』體型已達數十公尺,所產生的分身數量恐怕足以吞沒整支軍隊……」
「虎の姿をしていますが、植物型のモンスターであり、高い再生能力と自分の分身を生み出すそうです。出現した緑植虎の大きさは数十メートルに達しており、冒険者ギルドの話では生み出される分身の数は軍隊を飲み込むほどになるだろうと……」
「要用軍隊去對付不會死的巨型魔物……?」
「死なない巨大モンスターと軍隊を相手にするというのか……」
溫格洛夫凝視著環繞卡雷利亞的高聳城牆。
ヴェンゲロフはカレリアを囲む高い城壁を見つめる。
位於帝國邊境附近的皇國西部諸城為防範侵攻,防備早已面面俱到;其中卡雷利亞作為要衝,其防禦更勝他城。然而,那些防備是針對人的。
帝国国境に近い皇国西部の都市は侵攻に備え、防備は完璧に整っていた。その中でもカレリアはその要として他の都市以上の防備を誇る。しかし、それは人に対して、だ。
「竟然會有一天,連這座卡雷利亞也顯得如此脆弱……」
「このカレリアが頼りなく見える日が来るとはな……」
他低聲喃喃後,沉默不語。
呟き、ヴェンゲロフは押し黙る。
溫格洛夫沒有家人。妻子早逝,長子在與帝國的戰爭中為掩護他而陣亡。
ヴェンゲロフに家族はいない。妻は若くして亡くなり、長男は帝国との戦争中にヴェンゲロフを庇って亡くなった。
對溫格洛夫而言,卡雷利亞的子民就是他的家人。
そんなヴェンゲロフにとって、カレリアの民が家族だった。
正因如此,溫格洛夫做出了一個決定。
だからこそ、ヴェンゲロフは一つの決断をした。
「……把孩童、婦女與老人集合起來,從卡雷利亞撤離。」
「……子供と女、そして老人を集めろ。カレリアより逃がす」
「知、知道了!但要往哪裡……?朝皇國中心撤退太危險了!」
「わ、わかりました! しかし、どこへ……? 皇国中心部に向かうのは危険です!」
魔物堵住了通往皇國中心的路線,冒然往那方向撤退相當危險;但就算撤到卡雷利亞附近的城市,魔物的威脅也不會消失。
モンスターが皇国中心への進路を塞いでおり、あえてそちらに逃げるのは危険だった。しかし、カレリアの近くにある都市に避難してもモンスターの脅威は消えない。
沒有任何可靠的避難之所。
有力な逃げ場はどこにもなかった。
只有一處例外。
ただ、一つを除いて。
「撤往帝國東部邊境避難。」
「帝国東部国境へ避難させる」
「帝國東部邊境!?你還清醒嗎!?」
「て、帝国東部国境!? 正気ですか!?」
「當然是清醒。我們和帝國交戰過無數次。正因如此,我深知阿德拉一族──那個盤踞於大陸中央、逐夢而起的家族。每次走上前線的皇族個個都優秀得令人畏懼。」
「無論、正気だ。幾度も帝国と戦った。だからこそ、アードラーの一族のことはよく知っている。大陸中央に君臨する夢追い人の一族。前線に出てくる皇族たちはどいつもこいつも優秀で辟易したものだ」
「沒錯!連少主也是被他們害的!」
「そうです! 若様も奴らの手で!」
「殺我兒子的,是我。那個反對戰爭的兒子是被我帶上戰場的。帝國軍只是把入侵的我軍擊退而已。之後我們又交戰、互相殘殺,也數度休戰。每當休戰時,皇族就會出面。我恨不得將他們一個個殺掉。然而……也正因如此,帝國的皇族值得信賴,他們不會拋棄平民。」
「息子を殺したのは私だ。戦争に反対していた息子を私が戦場に連れ出した。帝国軍は侵攻した我が軍を撃退しただけだ。その後も戦った。殺し合いだ。そして幾度も休戦した。そのたびに皇族が出てきた。殺してやりたくて仕方なかった。しかし……それゆえに帝国の皇族は信頼できる。奴らは民間人を見捨てはしない」
「可是!現在他們正處內亂中!帝國根本沒有餘力接收難民!」
「ですが! 今は内乱中! 難民を受け入れる余裕など帝国にはありません!」
「你不懂。他們不會以自身的便利為優先。皇族的職責就是收容民眾、想辦法安置,並且他們有那個能力。尤其是那位姬將軍,她是傑出人物。在這種局勢下,沒有比她更可靠的將領了。」
「わかっておらん。奴らにとって自分の都合は関係ない。民を受け入れ、なんとかするのが皇族の務めだというだろうし、それができる程度には優秀だ。とくに姫将軍は傑物。この状況下ではこれほど頼りになる将軍はいまい」
話似乎已結束,溫格洛夫再次向部下下達命令。
話は終わりとばかりにヴェンゲロフは臣下に再度指示を出した。
「把要往西門避難的民眾集合起來!能戰鬥的人立刻往東門集合!哪怕只多拖一秒,也要阻止那魔物!」
「西門に避難する民を集めよ! 戦える者は東門に集合! 一秒でもモンスターを食い止める!」
「知、知道了!只希望SS級冒險者能及時趕來就好了……」
「りょ、了解いたしました! SS級冒険者が間に合ってくれればよいのですが……」
「SS級冒險者說不定哪裡都會出現。傳聞行蹤難測的『銀』或許能趕來……可惜,他是帝國的SS級冒險者,不會來皇國。就連『無名』也來不及,實在太倉促了。」
「どこにでも現れるSS級冒険者。神出鬼没と噂のシルバーなら間に合うかもしれんが……惜しいかな。あれは帝国のSS級冒険者だ。皇国にはやってこない。ノーネームも間に合うまい。あまりにも急すぎた」
已經請求SS級冒險者支援。
すでにSS級冒険者の支援は要請している。
面對能在短時間內使軍隊潰散的魔物,即使高階的冒險者也無能為力。
軍隊が短時間で壊滅するようなモンスターが相手では、高ランクの冒険者でも焼石に水。
即便可能過度動員,也得以最大戰力迎戰,這是大陸的常識,SS級冒險者正是為了這件事而存在。
過剰だろうが最大戦力をぶつけるというのが大陸の常識であり、そのためにSS級冒険者はいる。
但對於突如出現的魔物,有時應變趕不及。溫格洛夫明白這次就是那樣的例子。
しかし、いきなり現れるモンスターには対応が追い付かないこともある。今回がその例だとヴェンゲロフは理解していた。
所以才發布了撤離命令。
それゆえに避難命令だった。
「那麼,就出發吧。」
「では行くとしよう」
下定決死的決心後,溫格洛夫撿起劍,插回腰間。
決死の覚悟を決めて、ヴェンゲロフは剣を拾って腰に差したのだった。
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冒險者公會卡雷利亞支部的A級冒險者拉傑夫是個愛做夢的年輕人。
冒険者ギルドカレリア支部のA級冒険者、ラジェフは夢見がちな青年だった。
成為冒險者,是因為他想成為英雄。
冒険者になったのは英雄になりたかったから。
他相信總有一天會遇到強大的魔物,經過苦戰討伐後聲名大噪。
いつか強大なモンスターと出会い、それを苦戦の末に討伐して、名を挙げる日が来ると信じていた。
然而,當那個夢寐以求的強大魔物出現在眼前時,拉傑夫竟然連一步都邁不開。
しかし、その夢にまでみた強大なモンスターを目の前にして、ラジェフは一歩も動くことができなかった。
逼近到卡雷利亞近旁的魔物,是一隻綠色的巨虎。
カレリアのすぐ近くまで迫ったモンスターは緑色の虎だった。
牠高達數十公尺,連尾巴算起來,全長似乎超過一百公尺。
高さは数十メートル、尻尾までの全長は百メートルを超えているのではと思えた。
面對如此巨虎,拉傑夫連手中愛劍都拿不起想要出手的姿勢。
そんな巨大虎を前にして、ラジェフは手に持った愛剣を構えることもできなかった。
「哈、哈哈……」
「は、はは……」
他露出一抹乾澀的笑容。
乾いた笑みがこぼれる。
城牆上聚集著領主、騎士與冒險者,雖有徒然發出的箭矢與魔法,但根本看不出有任何效果。
城壁には領主とその騎士や、冒険者たちが集まっており、苦し紛れの矢や魔法が放たれていたが効いている素振りは見えない。
現實比他曾經的幻想殘酷得多。
現実は自分が夢見た幻想よりも酷かった。
拉傑夫曾以為,就算是只有SS級冒險者才會對付的魔物,他也能有一番作為。
SS級冒険者が相手にするようなモンスターでも、それなりに戦えるとラジェフは思っていた。
但當牠出現在眼前時,一切便顯而易見。
しかし、それを目の前にすればよくわかる。
根本不是對手。
こんな奴とは戦いにならない、と。
「我們不過是路邊的石子……」
「俺たちは道端の石ころだ……」
就像人會忽視路邊的石子一般,這魔物也不會在意人類。
人間が道に転がる石を気にしないように、このモンスターも人間など気にもしない。
正如石子與人無法對抗一般,人類也無法與這魔物匹敵。
そして石ころと人間が戦えないように、人間とこのモンスターも戦えない。
根本無法站在同一舞台上。
同じ土俵にも立てないのだ。
過去對付怪物時有效的劍技與冒險者經驗,在此全都失去效用。
自分が戦ってきたモンスターには通じた剣技も、冒険者としての経験も意味はない。
規模差異實在太大。
スケールが違いすぎるのだ。
為何當初會做那樣的夢呢?
どうして夢見てしまったのか。
拉傑夫怨恨起幼時的自己。
子供の頃の自分をラジェフは恨んだ。
他曾夢想有朝一日成為能拯救所有人的冒險者。正因如此才站在此處,卻被現實狠狠告知一切都是徒然。
いつか誰をも助けられる冒険者になりたいと夢見た。それゆえにここにいて、すべて無駄だったと思い知らされている。
作為人類這個物種,根本無法戰勝這種魔物。
人間という種である以上、このモンスターには勝てない。
這便是作為一個種族的限界。
それが種としての限界なのだ。
就這樣認定後,拉傑夫垂下視線。
そう決めつけ、ラジェフは視線を落とす。
這時天空忽然暗了下來。
すると空が暗くなった。
拉傑夫抬頭望向天空,喃喃自語道:
何が起きたのかとラジェフは空を見上げ、呟いた
「啊啊……真是做了個愚蠢的夢啊」
「ああ……馬鹿な夢を見たなぁ」
城牆上出現了魔物的前足。
城壁の上にはモンスターの前足があった。
那前足突然猛然墜下。
それが一気に降下してくる。
像踩踏路邊石子一般,魔物踏碎城牆,突破了卡雷利亞。
道端の石を踏みつけるように、モンスターが城壁を踏みつけ、カレリアを突破していく。
預見到此景,拉傑夫全身顫抖起來。
それを予期し、ラジェフは体を震わせる。
不是因為恐懼。
恐怖からではない。
而是出於憤怒。
怒りからだった。
「別開玩笑了……別小看人類!!」
「ざけんな……人間を舐めるな!!」
即便知道徒勞,拉傑夫還是把劍高高舉起。
無駄だとわかっていても、ラジェフは剣を空に掲げた。
即便完全無用,也想至少回擊一記。
完全に無意味でも、せめて一矢報いたかった。
只要能讓牠感到一點痛就好。
少しでも痛いと思ってくれたら。
帶著那樣的念頭舉起了劍。
そんな思いで掲げた剣だった。
然而。
しかし。
「咦……?」
「え……?」
同時,魔物被一股巨力擊飛,遠離了城鎮。
それと同時にモンスターは大きく吹き飛ばされて、都市から離れていった。
拉傑夫一度誤以為是自己潛在的力量覺醒,把魔物擊飛了。
自分の秘められた力が覚醒して、モンスターを吹き飛ばした。
他如此誤解,一瞬因喜悅而顫抖,但很快就感受到足以摧毀那份喜悅的壓迫感,因此緩緩抬頭望去。
そう勘違いし、ラジェフは一瞬、喜びに震えたが、その喜びを吹き飛ばすほどの威圧感を察知して、ゆっくりと空を見上げた。
那裡有一位披著黑袍、以銀色面具遮面的魔導師。
そこには黒いローブに身を包み、銀色の仮面で顔を隠した魔導師がいた。
「你們堅持得很好,卡雷利亞的騎士與冒險者。接下來由五名SS級冒險者討伐敵方魔物。重複一遍──此刻起由五名SS級冒險者討伐敵方魔物。剩下的就交給我們吧。」
「よく耐えた。カレリアの騎士と冒険者。これより敵モンスターはSS級冒険者、五名によって討伐する。繰り返す――これより敵モンスターはSS級冒険者、五名によって討伐する。あとは任せてもらおう」
這句話傳到了城牆上每一個人的耳中。
それは城壁にいるすべての者に伝えられた。
但在所有人還來不及因喜悅顫抖之前,腦中湧起了疑問。
そして全員が喜びに打ち震える前に疑問を抱いた。
「五名……?」
「五名……?」